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第7話 女神は放課後に笑う 後編

「お譲ちゃん。ダメだよ〜、人なんて呼んだら、おじさん困るでしょ〜」


俺との戦いで、息が荒くなっている犯人が女神に近づく姿はどこか卑猥めいたものがある。


やめろ。お前が触れていいものじゃないんだ…。

なんとか体を起こそうとするが、相当ジャストミートしたらしく、呼吸さえもまともにできない。


亜門に文句の一つでも言ってやりたかったが、そんな場合でもないし、出来る状態でもない。


犯人の手が女神に触れようとした瞬間、女神の後ろから影が滑るように現れた。


また、予想外だが宗方聖。天使男だ。


なんてこった、ヤバイ奴等が集合してやがる。

自称天使、自称悪魔、女神、殺人犯。

まさしく、なんてこったな組み合わせだ。げふっ…。


「なんだぁ!?この糞ガキ!いっちょまえに、女の盾になろうってかぁ!?」


「お上に…。」

聖がポツリと呟いた。


「あぁ?聞こえねぇなぁ…。」


「お上に…。お上に触れようとするたぁ、どう言う了見だぁぁ!!」


普段、温和な聖が声を荒げたことに内心驚いたが、驚きが外に出ないほど俺の表情は悶絶のソレだ。


しかし、聖の普段を知らない犯人にはあまり驚きは無いらしく、いきなり包丁を突き出した。


そこからは早かった。


包丁が聖に到達するよりはるかに早く、聖の拳が犯人の腹にめり込む。

包丁を落とした犯人が床に倒れるより早く、犯人の(あご)に掌手を振り上げた。


犯人は宙でかるくアーチを描きながら、蛍光灯を直撃し、俺の目の前に落ちたままピクリとも動かない。


何とか、体の自由を取り戻した俺はヨロヨロと立ち上がった。


「亜門…。お前、俺、ゴホッ…、こかしたろ?」


亜門は、俺を無視して女神を直視していた。

しばらくして、少し後ろに跳ぶと窓の枠にしゃがむ様に立ち


「いずれ、ケリを付けるから…。」


といって、窓の外に飛び降りた。


「おまっ!ここ、4階っ!」

驚いて外を見たが、亜門は普通に歩いていた。


「君…。大丈夫だったかな?」

気が付くと女神が目の前に立っていた。


そういえば、これが女神との初エンカウントだったな。


「あぁ、一番のダメージは亜門…さっきの女にやられたやつだから。」

事実である。


不意に横腹が痛んだ。

そういえばここも一応やられてたな。かすり傷程度だが、切り傷だけあって中々の出血量だ。


「お〜ぃ、どうしたぁ!!」

騒ぎを聞きつけて今頃、先生達がぞろぞろきやがった。

遅いよ枕谷。


「うぉっ!どうした相良!大丈夫か!?」

担任の枕谷だ。


俺が答える代わりに、聖が口を開いた。

「すみません、先生。女神さんと教室にいたら包丁持った人が現れて…。」


驚いて何もいえない俺の横で聖はつづけた。


「僕ビビっちゃって、ソコへ雪村君が来て助けてくれたんです。」


「そうか〜、さすが家柄が違うなぁ。相良、偉いぞ。だが、くれぐれも無茶が過ぎんようにな。」


女神がずっと微笑んでいたから、俺は何も言えなかった。

一番丸く収まる方法を取ってくれたのかもしれない。


後処理は先生達に任せ、俺たちは帰ることにした。


「君が、相良くん?」


玄関まで言った時に女神が俺の顔を覗き込んできた。


「そう、相良雪村(さがらゆきむら)だ。よろしくな。」


その後も、大丈夫だった?とか聞かれたけど、

少し照れくさかったし、「あぁ」とか、「うん」とかしか言えなかった。


「じゃぁ、また明日ねっ。」

女神が、そう言って後ろを向いたとき、スッと聖が前に出てきた。


「いや、雪村君。災難でしたね〜」

相変わらずの、貼り付けたような笑顔だ。


「まぁ、教室に殺人犯が来るとは思わないよな。」

あえて俺は、さっきの聖の嘘を追及しなかった。


「そこですよ。」


「ふぇ?」

俺は間の抜けた声をあげた。


「殺人事件があった日に、教室に殺人犯が来るなんて出来すぎてると思いませんか?」


夏とも秋ともいえない風に砂埃が舞った。

はい、こんにちは。天地 袋です。

今日、発見してしまった、昔買った香水の底に、何やら沈殿物があるのを見つけてしまい萎えています。

最後になりましたが、読んでくださった方ありがとうございました。

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