第5話 安っぽい影絵 初話
今回の話は、前回の続きではありませんのでお気をつけ下さいませ。
凄まじい衝撃で目が覚めた。何かがお腹の上に乗っている。
が、その犯人はすぐ分かった。
「重いぞ、漆。今にも死にそうだ。」
相良 漆。俺の妹だ。
「お兄ちゃん。早くしないと学校遅れるよ!」
慌てて時計を見るが、そう焦る必要もない時間だ。
よく見ると妹は制服に着替えている。
ん?なんで?
「漆。なんで小学校の制服?」
「もう、漆も今日から小学生だよ!お兄ちゃんも小学生だから、一緒だね〜。」
なんと、漆が小学生にあがったと言うことは、今日で俺の春休みが終わったと言うことだ。
小学生の朝は早い。高校生の兄貴がまだ寝てるのに、なんで俺は起きねばならんのだ。
「おはよう。くじら。」
台所に行くと、親父が新聞を読んでいた。
「おはようございます。」
そこで珍しく、兄貴が居ることに気づいた。
「あれ?蓮兄ちゃん、今日は早いね〜。」
相良 蓮。俺の兄貴だ。
あ、元服したから相良蛍雪になったんだっけ?
「ん?くじらか、今日は朝礼があるから少し早く出るんだよ」
兄貴は、テレビを消しながら答えた。
「じゃ、僕はそろそろ出かけるね。」
「気をつけてな。」
「いってらっしゃい。」
親父と、声がシンクロしてしまった。
玄関に行ったはずの兄貴が、急いで戻ってきた。
「危ない、『蛍雪』忘れるところでした。」
どうやら、日本刀を忘れたようだ。
親父は苦笑いしていたが、兄貴笑いながら俺の方を向いてチロッっと舌をだした。
奥の部屋から出てきた母さんが
「蛍雪もう出たかしら?」
と、親父に聞いているのが見えた。
何も変わることのない毎日。
何も変わらないと思ってたんだ。
ショウガクセイノ、ボクハ。
はい、こんにちは。天地 袋です。
あぁ、部屋が汚い…。
最後になりましたが、読んでくださった方ありがとうございました。