第19話 忘れた雪は二度降る 中篇
細い路地を、ニヤケ顔の宗方と歩く状況がイマイチ分からない。
ただ、無心で歩くのも退屈だし、少し整理しよう。
亜門は悪魔。宗方は天使。女神は神。
この三点を事実だとすれば、今までの話もつながってくるかもしれない。
いや、最近、盲目的に全てを信じているが本当に大丈夫なのか?
とにかく落ち着いて整理しよう。
亜門の言葉で言うなら、「天使は人を騙し、神は人で遊ぶ。」
悪魔は、何をするか分からない。
この言葉を冷静に考えれば、天使にも、神にも役割があるのに対し、悪魔には役割が無い。
だが、悪魔が生きるのに、天使と神が邪魔になるとも言っていた。
これは、つじつまが合っていないじゃないか!?
俺は自分の考えに驚愕した。
生きるのに邪魔ということは、天使、神が、悪魔の役割を侵害して邪魔になっているはずだ。
とすれば、悪魔にも役割がある。
『天使は人を騙し、神は人で遊ぶ。』
これに共通しているのは『人』だ…。
つまり悪魔も『人』に何らかのアクションを起こすものということだ。
この場合の『人』は…。
相良雪村…。俺だ…。
頭がグルグルと、とぐろを巻く感覚に襲われる。
亜門は俺に嘘をついている…?
クッ…。落ち着け…。考えるんだ。
なぜ今まで気づかなかったのか、思い返せば他にもあるはずだ。
「昔…何年も前に、私の事聞いてない…?」
確か、こんな事も言われた気がする。
何年も前に聞いた事があるというが、亜門は数ヶ月前に転入してきたばかりだ。
そんな昔の事で何かあるとすれば、あの、『相良蛍雪』に関わる事くらいだ。
グッと手に力が入る。
聞いた事があるか?という事は、聞かせてくれる相手が亜門を知っている事になる。
あの男が居なくなったのは何年も前で、亜門とあの男に接点があるようには思えない。
これは、分からないワードだ。
保留。
他にも引っかかるところは多々ある気がする。
いつかの殺人犯の一件で、女神達が現れたタイミングと発言も、今思えば違って聞こえてくる。
宗方にいたっては、俺の行く先で会っているきがする…。
監視…されてるのか…??
亜門も俺に嘘をついていた。だが、天使と神なのに、この2人もなんだか怪しい。
俺はどっちを信じたらいいのだろう?
むしろ信じたら駄目じゃないか?
とにかく表面的事実で、俺に分かるのは、亜門は、宗方、女神と仲が悪いという事だ。
待てよ?とすると何か引っかかるな。
何で俺は、宗方と歩いてるんだ?
確か、宗方が言ってた言葉は、
「いや〜。奇遇ですねぇ。桐沢さん来てないでしょう?」
この発言は、違和感があるが意図が読めないな…。
「えぇ、それなんですが待ち合わせ場所を変えたいとかナントカで…。伝えてくれと頼まれまして…。」
これだ!!
そもそも、アレだけ毛嫌いしている宗方に、亜門が頼みごとなどするのか!?
亜門が9時に待ち合わせを指定して、それに遅れた。
そこに、宗方が現れただけで、十分おかしいじゃないか!?
俺は馬鹿か?なんで気づかない!?
ポツポツと歩く宗方が急に恐ろしく見えた。奥歯がガチガチなる。
「む…宗方…?いつまで歩くんだよ…?もう結構たつだろ?待ち合わせ場所ってどこだよ?」
焦って質問ばかりになってしまった。
クルっと薄い笑顔が振り返ると、「ん〜」と全く考えていない顔で考えている様な声をだした。
「ん〜、どっちでもいいですよ?」
意味の分からない返答と、張り付いた笑顔が俺を見た。
こんにちは、天地袋です。
ネタを忘れそうだから急いで、ズラズラ書いてます。
いずれ、全部綺麗にしたい…。
最後になりましたが、読んでくださった方ありがとうございました。