第11話 何も知らない 中篇
やばい、また急な展開だな。
「なんだよ?何かようか?」
少し、突き放すような言い方になったか。
さっきから俺は何故か、亜門の顔を見れずに下を向いていた。
「はめられたわね…。」
「はぁ?」
最近、俺の返事は変な声しか出ない。
てか、俺の方がお前にはめられたんじゃない?
「雪村君…。私が鍵…取ったと思ってない?」
いきなり確信を突かれ顔を上げた瞬間、亜門の顔が目の前にあった。
まさに、目と鼻の先というやつだ。
ドキッ心臓が跳ねた。
コレは、恋とかの類の胸の高揚などではない。
文字通り、心臓が跳ねたのだ。血管が切れたかと思うほどだ。
いや、実際、数本は切れたかもしんない。
しかし、人体の中は見えないし、見たくも無い。
人体の不思議展〔そういう展覧会〕なら、中学の時に見に行っただけで十分だ。
俺が何も言わないことを肯定ととったのか、亜門は話し出した。
「雪村君…。宗方から何か聞いてたよ…ね?」
息が顔に掛かる。
「アレ、信じちゃ…。ダメだよ…。」
亜門は、昨日の聖との会話を”アレ”と表現した。
こいつはつまり、昨日の話を聞いていたということだろう。
「お前の話なんか、信じられるかよ!この際、正直に言おう。俺は、お前を疑っている。」
勢いに任せて、突っ走り過ぎたようだ。
言ってしまった…。
「雪村君…。天使は嘘をつくものよ?」
ん?あぁ?
ははぁ、この期に及んでおとぼけ作戦に出たな。
分けの分からん妄想話に引きずり込んで、俺の正常な脳みそを容量オーバーさせる気だ。
そうは問屋がおろすもんか!!
問屋というものが、どんな職業なのかは知らないが、とにかくここはそう言う場面だ。
「はっ。百歩譲ってそうだとして、天使が嘘つくかよ。お前は悪魔なんだろ?悪魔の言うことなんて信じられないね。」
まるで漫画のチョイ役のような言い方だが、内容はいい線行ってるはずだ。
この位の意地悪は神様も許してくれるはずだ。
俺が話を終わらせる為に放った言葉に、亜門は眉一つ動かさない。
「雪村君は、悪魔をどんなモノだと思っているの…?」
ふはは、いい質問だ。
「まず、先に矢印みたいなのが付いている尻尾がある。」
「無いわ。」
「しかも、背中には蝙蝠を思わせる羽があり」
「無いわ。」
「そして服装は全てを飲み込む黒!!」
「色んな服を着る。」
「そして、四六時中、身の丈ほどもある鎌を持ち歩き、子供たちを…。」
「それ…死神…。」
なんてこった!
この女は、人類が数百、数千年かけて完成させた悪魔のイメージを全て否定したのか!?
「なんで、ソコまで言い切れるんだよ?」
この危険因子め。俺達の地球を渡すものか。
「あら…。前にも言わなかった?」
近い顔がよりいっそう、近づいた。
心臓が締め付けられる。
俺の死因はまちがいなく、心臓系の病だろう。
一拍おいて、亜門の唇が滑るように開いた。
だってほら…。私…悪魔だから…。
はい、こんにちは。天地 袋です。
結構、書いたつもりなのに全体の10%もまだ書けていません。
もう、鼻水がでそうです。
最後になりましたが、読んでいただいた方ありがとうございました。