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プロローグ
「秋桜」。
コスモスは漢字でそう書くらしい。
桜の木の様に秋の畑をピンク色でいっぱいにするから、
そんな漢字がついたそうだ。
でも僕はそれを間違ってると思う。
「桜の木の様に」なんて、可笑しいじゃないか。
何でもピンク色でいっぱいになっていたら桜の木の様なのか?
違うだろう。
コスモスには、もっと別の魅力があるはずだ。
あの「ピンク色」には、もっと切ない意味があるはずなんだ。
僕は……そうだ。僕なら、あのコスモスになんて名前を付けただろう。
道端に咲いて愛らしく笑う、そんな。
そんな、君の、名前は───。