第二話
皆様、遅くなりました。執筆する時間がホントに欲しいくらいの忙しさです。
作者サイド
智香と俊也は、夕食を食べた後に家を出た。しかし、目の前の現状を見た二人にはある二文字が浮かび上がった。それは[絶望]であった。
自分たちが居た家の周りには、辺り一面が焼け野原となり、死体等は見受けられないが、木々は黒く焦げ、家々は爆弾か何かで吹き飛ばされた様な状態で、全壊していたり半壊していたりとしていた。
「そ・・そんな・・・」
智香には信じられないと思った。何故なら、自分たちの家は無事なのに周りは破壊尽くされている事に目を疑った。
「お姉ちゃん、これってまさか、僕たちの居た頃の景色じゃないの?」
俊也は、姉である智香にそう尋ねた。
智香サイド
私は信じられなかった。自分たちの家は無事なのに他の家々は破壊されており、綺麗に咲いている筈の桜の木は焼け焦げている。それに、もし、自分たちが居た頃の状態ならならば、ここら辺一帯に家族や友人の遺体が在るはずだ。しかし、それが無い(・・)
「俊也、今から、誰か居ないか探しに行くわよ」
私は、俊也にそう言うと急いで学校のあった場所へと向かう。
「待ってよ!お姉ちゃん」
後ろからは、俊也が私の後を付いて来る。
智香サイド
そこで、私はある事を思い出す。それは、私の後ろから付いてくる弟の俊也が敵兵の銃弾で死ぬ(・・)事を。
「俊也!」
私は急いで後ろを振り返った。しかし、そこには息を切らしている俊也の姿があった。
「良かったぁ。大丈夫?」
私は安心してから、俊也の事を気遣った。
「だい、丈夫だよ、お姉ちゃん。まだ、付いてこれる、早さ、だから、このままでも、大丈夫」
俊也は、行き絶え絶えになりながらも、そう答えてくれる。
「なら、少しだけスピードを緩めるわね」
私はそう言うと駆け出す。俊也が付いてこれるスピードで。
俊也サイド
僕は、お姉ちゃんの後に続きながら考えていた。
[もし、この世界自体が幻なんでは無いかと・・・]
「お姉ちゃん、もう少しで学校だよ」
僕は、見覚えのある道に出たので、お姉ちゃんにそう伝えた。
「了解、もう少しスピードを上げるわよ!」
お姉ちゃんはそう言うと、さっきよりスピードを上げた。僕は、それに追いつける様に走る。ただそれだけだ。もし、それで世界がどうなろうとも僕には関係ない。僕は、ただ、お姉ちゃんの幸せが一番に考えているから。
作者サイド
智香と俊也は共に、母校である小学校と中学校が合併している学校に到着した。しかし、学校も空襲を受けたのか窓ガラスや校舎の一部が破損していたりと、見るも無残な形となっていた。
二人は、その校舎の中に入り、誰か居ないかと捜索を行った。だが、誰一人とも存在しず、見つけるのは壊れた机やイス、焼けて黒くなった教科書等しか見つからなかった。
「お姉ちゃん、誰も居ないね」
俊也は諦めたように智香に言った。
「そうね、でもどこかには生存者が居るはずよ。私達は諦めない」
智香は諦めるどころか、逆に希望に満ち溢れていた。
しかし、その希望に満ちた眼も、この後に起きる事件をきっかけに、絶望の目へと変貌してしまう。
智香サイド
私は、弟の俊也が諦めるような言葉を言ったので自分だけは希望を持って、行こうと思って俊也にそう言った。
「俊也、他も当るわよ!」
私はそう言うと、何時もお母さんと行ったスーパーに向かった。もしかしたら、そこには誰か居るであろうと言う思いで行く。
「お姉ちゃん、何処に行くかぐらい教えてくれても良いんじゃないの!」
なんか、俊也が私に言っているように感じるが、今は無視をしよう。そうしないと、不安になるから。
でも、頭の中にある思いがよぎった。
[もしかして、この世界は幻でバーチャル的な世界なんではないかと]
この思いが私の頭の中によぎることにより、不安は募る。でも、それでも私は走る。弟の俊也の為にも。俊也が幸せになれるようにするのも、姉である私の役目だと信じて。
誤字脱字、感想、質問があればよろしくお願いします。