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『ノーライフ・ノーモンスター』〜終末世界で不死の怪物になったけど、人間として生きます〜  作者: 歯車
屍の街

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2/8

一話『そこで死んだ僕』

 死んだあとはあの世で目を覚ますものだと思っていた。だから、変わらない暗闇とそのなかの血の匂いを感じたとき、僕は驚いた。


「あれ、俺、生きてる?」


 目をこすれば、ぼやけていた視界が少しずつクリアになっていく。

 光のない、暗闇だ。近付けなければ、自分の手を見ることさえままならない。

 ただ、そこで気が付いた。落ちてくるときにぶつけてグチャグチャになっていたはずの腕は綺麗だった。そして何より、ちゃんと動くのだ。

 僕はしゃがみ込み、自分の左足を見た。するとそこには、古傷まで綺麗に消え去った僕の左足があった。

 そして、その場で軽く飛び跳ねてみて確信する。どういう訳か、僕の怪我が完全に治っているらしかった。それどころか、あれだけ酷使したのに身体のどこも痛まない。


「僕はやっぱり死んだのか?」


 冷静に考えればそうだろう。あれだけの怪我を負って、死なないにしても怪我が治っているというのは不自然すぎる。僕は死んで幽霊になったのだろうか。

 しかし、僕の足は確かに地面を踏み鳴らし、声はこの縦穴に反響している。主観でしかないが、僕は確かにこの場所に存在していた。

 確かに死んでしまったが、幽霊になったわけでもない。ここにいる僕は今生きているのだろうか?

 転がり込んだであろう穴を見上げれば、その高さは十数メートルはありそうだった。


「取り敢えず、上がってから考えるか……」


 悩んでも分からないことに時間を掛けるのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 そもそもとして、この穴から這い上がれなければ助かった意味がないというものだ。体力のあるうちに上がったほうが良いだろう。

 そう考えた僕は早速、微かに光の差し込む出口へと向かって坂を這い登りはじめた。想像していたよりもずっと急斜で、赤い血がべちゃりと付いたままの突起を掴むのは、自分のものであっても相当キツい。

 そしてようやく半分登ったというところで、足場になりそうな場所を見つけると腰を下ろした。

 僕は一息付いて身体の力が抜けるのを感じると、肩を回して凝った肩をほぐす。まだ半分ほどだが、この休憩スポットがなければ上まで登り切るのはキツかったかもしれないと思う。


 僕はふと、真っ赤に染まった手のひらを見た。まだ生々しく微かな温もりさえ感じるそれは、僕の血肉に他なかった。

 ドロドロとした血が僕の手を染め、細かく千切れた肉片がこびり付いている。

 これだけで、現場の凄惨さは十分すぎるほどに伝わってくる。間違いない、僕はこの坂を転がり落ちて死んだんだ。

 血肉をまき散らかしながら転がり落ちた僕は確かに、死んでいたのだ。今さら拘るべき点ではないと言われるかもしれないが、僕にとっては大事なことだった。


 それからもう少しだけ休むと、僕は再び出口へ向かって登り始めた。そして小一時間程登り続けた結果、僕は数時間ぶりに外の空気を吸うことに成功した。まだ地下鉄だけど……。


 


お読みくださり、ありがとうございました(*´∀`*)

次回からはもう少し物語をハイペースで進めていきます。

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