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[道祖神第二部.箱] 誰や…?アカン、怖気づいとるわ!

棺桶の似合う老人に警察から聞いた話をそっくりそのまましてもらった。

どうやら、あぜ道で足を滑らせて頭を打ったという単なる事故として処理されたらしい。まぁ、そんなところだろうと思った。

さぁて、村を探検しよう。昔はよくやった。こうして歩いてみると、何でこんなものがいくつもあるのか不思議になる。

そうして見下ろしたのは庚申塔だ。昔は見上げることしかできなかった程の大きさだったが、今はあの事件によって僕の下半身と同じくらいしかないのだ。その横には[猿田彦]と刻まれた石碑がある。小さい頃、よく参拝感覚で小銭を置いたものだ。僕はポケットに手を突っ込み、とりだした五円玉をその石碑の上に乗せた。ほんのちょっと指で揺らぎを与えるだけで落ちそうだが、どうでもいい。


ガァッガァッ!!


僕は誰よりも過敏に己の背後に向け首を回した。

なんだカラスじゃあないか。

だが、僕の鼓動は高まるばかりだった。

あっ…。ああ、あああああ!見てしまった。見たくなかった。でも見てしまった。視界に入った。見ないようにしていたのに見てしまった。

踏み入れたくないような荒れ地、披針形で細長く黄緑色の平行脈があるヤダケの群落、そして黒と黄の縞模様がその危うさを表している円錐状のロードコーン。

僕には分かる。あの竹林を掻き分けてはならない。絶対にならない。許されない。なのに僕はそれをやった。竹林を掻き分けて押し入った。また、あの時みたいにその奥へと。アレを確認するために。しかし、あの時みたいに何かの根に足をすくわれることはなかった。つまり今回はちゃんと上から視認することができた。

そこにアレはあった。


石製の筒でその表面には磨耗して読めない漢字のようなものが刻まれている。土汚れがひどく、半分は埋まっている。その筒の蓋は本体よりはまだキレイなものなので、どこかで取り替えられたのだと推測できる。僕はまたその筒の蓋をとった。カチン。そして再びそれらをとりだした。

1つはこの巻き物。もう1つはこの箱だ。

巻き物には読めない文字がつづってあるが、何かの経典のように思える。箱は黒色だが螺鈿で構成された花穂がほどこされている。箱の蓋に手をかけたその瞬間。

「おい、君。ちょっと待ちなさい!」


ガタッ。


えっ、ちょっ誰なん。そんなことよりアカン、アカンアカン。怖気づいとるわ。僕の心臓は一瞬その動きを止めた気がした。

またそれが動きだしたと気づいたとき、額から汗がふきだし手は指の先まで急に冷たくなり、故に仰天して箱から両手を離し、それは草むらへと落下してしまった。

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