表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

[道祖神第十部.守護]被害妄想甚だしいわっ

トンッ。ザザ…


「ふーっ、あなたのせいでっ、お義母さんたちは困ってさ!!」

ググッ…


「ほんとふざけるのもいい加減にして!あなた、ケンが死んでも困らせるんだね!痛みつけて、悩ませてそれを楽しんで!ほんっと!」


「は…?楽しんで?あんたッ…。言うこと聞いてりゃ…被害妄想甚だしいわっ。なに、あんたはケン君を助けた気取りなのね。」

スーーー…フゥーーーーー

木々が揺れる…


「…なによ。実際、あってるでしょうに。」


ピューッ、ピューッ


「あのね、あなたわかってないみたいだから言うけどケン君はッ」

ズズッ


ドン!バッ

ゴロゴロッ、ズサァーッ…


「痛いッ」

私はこの女のカカトで地面に突き飛ばされ腹を手で覆う。


「死ねよ」


女は去って行く…

「ま、」

私はまた女の眼光に刺された。

私の膝が地面にくっついてる。這いつくばって…再び私は目の前の人を追いかけれなかった…

きっと女は限界まで膨れ上がった憎悪を吐き出したのだ。本当に気が狂いそうな勢いだったわ…。


私はケン君の家に戻ることはなかった。…会いたくないな。ゆっくり立ち上がる。

そして廃人みたいにあの井戸を目指す。こっちは近道よね。

いつも通ることのない林を抜けて、石段をのぼる。

ピョピョッ…

チチチッチ

「んあぁ…スズさんかい…。」

「…どうも、」


ふと気がつく。ちょっと遠回りだったかも。いいわ。少し落ち着いてきたし…

ガサッ。

ザザザザ

ススッ

パキッ、タッタッタッ…

人影?…村の子供かしら。

さっきまで寒気がしてたはず…

やけに鼓動が速くなった。

喉乾いた…

ピーッピーッ!!

ピュッピュッピュピュピュッ


サーサーサー…

フーー

ガサッ。ガサッ。

キーッ!

もしかしたらやばいかも。脱水しかけかしら。耳が…異様に……変だわ。クラッとしてる。

日影、日影を意識しましょ。

私は急ぎ足で村の自販機を目指す。

どっかの井戸…は流石にやめとこう。きっつ…。クラクラしてるわ。


トクンッ、トクンッ、トクトクトク…。


「ん…えっ、?」


なにあれ…。石垣?てかフェンス…。苔にツタ…家、じゃなくて教会。そういえば昔、聞かされたわね…。晦村を含めてこの辺一帯は宗教やってた。怪しいってかずっと昔から根付いてたって。でも、いろいろあって…そんなの信じる人は居なくなった。んー、おじいちゃんの世代だからわからないわ。

文献…じゃなかった。そんな古めかしいんじゃないけど晦村史の濃霧・焔の本に、掟とかあるあれ。今度読むことにしましょう。

あれっ。

いつの間にか鼓動はおさまっていた。耳鳴りみたいなのもやんでた。そして荒廃してるその教会に足を踏み入れてもいた。なんだか…落ち着かないわね。案外きれいだわ。内装もだけどこの像にステンドグラス、パイプオルガン…なんだか寂しいわね。


目に止まった。


ケン君のバッグ?

それは長椅子の上に、って違うわね…変なストラップね。クリスタルっぽい…この宗教のかな。ヨナの九鳥って刻まれてあるのを見た。すんごく古いやつ。九鳥って確か鳩のことだっけ。いつかお父さんが言ってた。

ヴーッ、ヴーッ!

電話?誰だろ。知らない番号ね。

電話に出たけど沈黙する。

「スズちゃん。あの…ごめ、いや…」

えっ、なに。


「ケン君?」


「ガタッ、。あっ、コウジで…」

スマホ落とした。動揺してる?工事?


「そう、俺っ。ケン。」

「ケン君っ…!なんで!?どうしてっ…心配してっ…あの、え?、あ、あの女はっ?、はっ、騙されて…え?」


ッ、………

「なんでっ、」

通話を切られた。そっか、そう…なのね。事情はわかんない。でも!


ケン君は生きてる。


「あ…ああぁ…ケン君ッッッ」


生きてる。生きてるんだ。


ケン君は死んでないっ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ