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【連載版】不運が続く俺の元に座敷わらしが嫁候補として居座っているのだが  作者: 藤原 柚月


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8/10

妖怪として生まれてから百年経たないと

 今いる公園は緑が多い。


 園路や遊具広場もあるが、遊具広場から距離を置いた場所に木々に囲まれた東屋が設置されている。


 子供や親の笑い声やはしゃぎ声が遊具広場から聞こえ、風で草木が揺れる。


 親子連れやたまに犬の散歩に来る人達が訪れる公園ではあるが、人が多い訳ではない。


 なので、大事な話をするのに周りの目を気にすることはない。最も、第三者から見れば舞と俺は親子に見えるだろうし。


 里桜は普通の人には見えない。


 里桜を椅子に座らせ、ガーゼケットを肩にかけ直す。


 俺と舞も椅子に座ると、里桜は顔を上げる。


 ーー隠していた事がある。


 震える声で言った里桜は、内容によっては怒られると思っているのだろう。


 それでも、言おうと頑張ってる里桜に心から応援する。


 親バカだと思われようが、そんなもんは知るか! 里桜は可愛いんだから、仕方ないだろ。


「……具合が悪くなったのは、かくりよからうつしよに来ちゃったせいです」

「うつしよ?」

「現実世界の事です。以前に透和様にお伝えしましたよね? 座敷わらしとして生まれ変わった事を……」


 里桜は一呼吸置いてから話し出した。


「妖怪として生まれてから百年経たないとうつしよに行ってはいけないのです。じゃないと身体に負担が掛かって体調が崩れてしまうから」


 ということは、里桜ははじめから知っていた? それをわざと黙っていたのか?


 何のために……。


 いや、考えるまでもない。俺の為だ。


「ふーん。生まれ変わり? じゃあ、前世は恋人かなんかだったの? それとも血の繋がりがあったとか?」


 舞は、空気を読まずにズバッと言う。知らないんだから、仕方ないとは思う。思うんだが……。


 言葉をもうちょっと、オブラートに包むとか……。


 そういえば、怪談話で自分の体験を他人の体験話として語ってたよな。確か小学の頃、不良グループに目をつけられていたって話してたっけ。


 目をつけられてた理由がなんとなくわかった。大人しいからじゃない。相手の気持ちを考えない言動が目立つんだ。


 本当に前世が血の繋がりがあったり、親しい間柄だったら今の発言はよろしくない。


 そういう関係じゃなくても、聞いてはいけないとは思うが。


 俺は、息をついて首を左右に振る。


「恋人じゃない。飼い猫だったんだよ」

「だ、黙っててごめんなさい。でも……私、百年なんて待ってられません。百年立って、例え透和様が生まれ変わっていたとしても……それは今の透和様じゃないんです。私は、今の……そのままの透和様に会いしたかったから」


 里桜は勢いよく立ち上がり、頭を下げる。


「それって、かくりよに行けば体調良くなるって事か?」

「はい。そうなりますが」

「良し! なら、善は急げだ。舞、今夜決行で良いだろ?」

「え、ええ。それは良いけど……」


 舞は里桜を見た後、俺の顔を見た。


 俺の腕を引っ張り「ちょっと来て」と連れてかれた。


 東屋から数メートル離れた距離まで来ると、舞は立ち止まり、睨んできた。


「良いの?」

「何が?」

「あの座敷わらしちゃん、あんたを想う一心でうつしよに来たんでしょ」

「わかってる。だからって一生このままにしとけないだろ。体調が良くなるんだから」

「……かくりよで体調を戻してからまたうつしよに連れていくつもり? それだと座敷わらしちゃんが可哀想よ」

「そんなことするわけないだろ。里桜は……かくりよに置いていく」

「あの様子だと置いていっても、またうつしよに来るんじゃないの」

「だろうな。だから、お世話になったお姉さんの所に連れて行って預かってもらう」

「上手くいくとは思えないけど」

「それでもやるんだよ」


 舞は里桜を見た後、ため息をした。


 諦めたように頷いた。






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