第25話 模倣
「ここだよ!」
ルルが案内した先は、人形やぬいぐるみ専門店だった。城に近い、高級店が並ぶエリアの店だ看板には「メゾンドール」と書かれている。
「メゾンドール……」
俺たちの店よりもずっと大きく立派な造りだ。ショーウインドウには色とりどりのぬいぐるみが並んでいる。
「とにかく、中を見てみよう」
広く明るい店内は高級感にあふれている。棚にはさまざまな種類のぬいぐるみが整然と並んでいた。品揃えも豊富でお客さんも多い。
「あった……」
ルルが小さく声を上げた。
店の一角に、見覚えのあるぬいぐるみが並んでいた。白くて丸い、手のひらサイズ。
間違いない。俺が作ったフェルト人形とほとんど同じデザインだ。
「これは……」
手に取って品物をよく見てみる。
ほとんど同じ、というのは間違えかもしれない。
こちらのぬいぐるみの頭に小さな花の飾りがついている。色も白だけじゃなく、ピンク、水色、黄色と、カラーバリエーションがあった。耳の形の違うものや、尻尾にリボンがついているものもある。
「可愛い……」
思わずそう呟いてしまった。
可愛いデザインだ。俺のフェルト人形よりずっと華やかで可愛らしい。
「でも!」
ルルが声を上げる。
「でもっ、こんなのパクリじゃん!」
ルルの声が店内に響く。お客さんたちが、こちらを振り向いた。
「ルル、声が……」
「だって! シロが一生懸命考えた商品なのに!」
「ホワホワ!」
ルルとホワが悔しそうに商品を睨みつける。
「それに、見てよっ! 値段!」
ルルが指さした値札には「銀貨1枚」と書かれていた。俺の店は銀貨3枚。3分の1の価格だ。
「そんな……」
頭が真っ白になる。
デザインが可愛くてその上安いなんて、これじゃお客さんはこっちを選ぶに決まっている。
「おやおや、人聞きの悪い」
振り向くと、そこには見覚えのある男が立っていた。金髪碧眼、爽やかな立ち姿。
「あんたは……」
この男、確か前に商店街で会った……
「ゴールディ商会の」
「ええ。シアン・ゴールディです」
男が丁寧に頭を下げる。
「穏やかではないお声が聞こえまして」
「それは……」
俺は言葉に詰まる。
「商品の類似について、お話ししましょうか」
シアンが店の奥を指さした。




