【閑話休題】お小遣い
「ルル、ホワ、お前たちたまには遊んでおいで」
店が少し落ち着いた昼下がり。そう言って、シロはルルとホワに銀貨を2枚ずつ手渡した。
「えっ、いいの?」
「ホワワ?」
「ああ、最近ずっと毎日夕方まで店に缶詰だろ? 頑張ってくれてるからな。給料とは別にお小遣いだ」
差し出された銀貨をルルは嬉しそうに受け取り、ホワも小さな手で抱える。
「ありがとう、シロ!」
「ホワワ~!」
「店は俺が見てるから、気をつけて行ってこいよ」
シロに見送られ、ルルとホワは賑わう商店街をのんびりと歩く。
「ねえ、ホワ。銀貨2枚だって! 何買おうか? 私たちお金持ちじゃない?」
「ホワワワチ!」
「どこに行こうかな」
「ホワ~」
商店街を抜けて噴水の広場まで行くと、軽食を扱う屋台がたくさん並んでいる。
「全部おいしそう……」
「ホワァ……」
焼きソーセージや揚げ菓子、ジュースのスタンドなど、ルルとホワは屋台ひとつひとつを覗いて慎重に吟味する。
「ホワワ?」
いくつか目の屋台の前でホワが立ち止まる。香ばしいコーンが山積みになった小さなアイス屋さんだった。
「アイスだ! ホワ、食べたことある?」
「ホワァ~」
ホワはフルフルと首を振る。どうやら初めてらしい。
「じゃあ一緒に食べよう。私がオススメのを買ってあげるね」
「ホワ!」
ルルはケースの前で少し迷って、バニラとイチゴのアイスをオーダーした。
「はい、ホワ。これがバニラアイスだよ」
「ホワ……」
「おいしいよ?」
冷たいアイスを手渡されたホワは、先にアイスを食べはじめたルルの様子を見ながら恐る恐る舐めてみる。
「ホワワ!!」
ひと口食べた瞬間、ホワの目が輝いた。おいしさに感動したのか、夢中でアイスを食べ始める。
「ね、美味しいでしょ? 私も昔よくお祭りで買ってもらったんだ」
「ホワホワ~!」
あたたかい日差しの中、ふたりは店の前のベンチに座ってゆっくりアイスを味わった。
「ね、ホワ」
アイスを食べ終えて、ルルがぽつりと呟く。
「私、シロに拾ってもらって本当に良かった。毎日楽しいよ」
「ホワワ」
ホワがルルの手を握る。
「ホワもそう思ってくれてるの?」
「ホワ!」
「ありがとう、ホワ」
ルルが優しくホワの頭を撫でる。ホワの尻尾がパタパタと揺れた。
「シロにもお土産買って帰ろうか」
「ホワ!」
「何がいいかな……」
「ホワ……ホワワ!」
「ん? 紅茶屋さんだ」
帰り道、ふたりは小さな紅茶専門店の前で立ち止まった。
店頭には様々な茶葉が並んでいる
「シロ、いつも紅茶飲んでるもんね」
「ホワホワ」
「よし、ここにしよう」
店内に入ると、店主の優しそうな女性がふたりを迎えた。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。えっと、プレゼントなんですけど、いつも忙しく働いている人にあげたいんです。どれがおすすめですか?」
「でしたら、こちらはいかがでしょう? 香りが良くてリラックスしたい時にぴったりですよ」
女性が小さな缶を差し出す。蓋を開けると、柑橘系の爽やかな香りが広がった。
「いい香り~」
「ホワワ~」
「ホワもそう思う? あの、これおいくらですか?」
「サイズによって違うんですけど、こちらの缶入りのものは銀貨2枚です」
「銀貨2枚……」
アイスを食べてしまったので、ルルの手持ちだけでは足りない。
他のものにしようかと考えていると、横からホワが銀貨1枚を差し出した。
半分ずつ出そうということらしい。
「これ、お願いします」
「ホワチ」
ふたりは丁寧に包まれた紅茶缶を抱えて、家に向かう。
「シロ、喜んでくれるといいね」
「ホーワ!」
誤字報告ありがとうございます!訂正いたしました。助かります!




