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ウキュウ
雨の中
少女がぽつんと立っていた
傘を差すことも何もせず
雨に打たれて立っていた
誰かがそばを通りかかり
心配そうにこう言った
傘を差さないと風邪をひくよ
少女は静かに笑ったが
何も言わずに首を振った
しばらくしてから
少女に向かって誰かが言った
そんなに雨が好きなのかい
やっぱり少女は笑ったが
何も言わずに首を振った
雨が強くなってからも
少女は変わらず立っていた
誰かがそんな少女を見て
ため息をついてこう言った
すべてを流してほしいんだね
少女はやっぱり静かに笑い
小さく小さくうなずいた
雨はすべてを流してくれる
だから少女は立っていた
雨が自分を流すまで