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キンク
大事な扉を開くための
大事な鍵を一度捨てた
大切なのは知っていたけど
扉はそのまま開けられたから
特にためらうこともしないで
世界のどこかに無造作に
けれど今日に限って扉は開かず
僕は一人で寒空の下
けれども僕は楽観的に
明日になればまた開くだろうと
その程度にしか思わなかった
だけど
次の日になっても扉は開かず
その次の日もまた同じ
扉は鍵がかかったまま
体は冷えきり声も出ない
開けてくれる人もいない
失う時まで分からない
それが本当に大切なもの
ようやく分かったその時はもう
間に合わない
間に合わない
必ずいつか鍵を見つけて
扉を開かなければならない
無謀なこととは知っているけど
それが僕の償いだから