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シカイ
僕の目は何も映さない
微かな光しか届かない
生まれた時から今までずっと
暗い世界で生きていた僕は
世界に溢れる“イロ”というのが
世界に溢れる物の“カタチ”が
どんなものかが分からない
この目がすべてを映したならば
どんな世界になるのだろうと
羨む気持ちはあるけれど
今のままでもいいとも思える
例えばそれは声のイロ
僕を気遣う声のイロ
例えばそれは人のカタチ
僕を導く人のカタチ
僕の見えない目であろうとも
視ることができるものがあるから
知ることができるものがあるから