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シンジョウ
太陽をかいてと言われた僕は
赤い色鉛筆に手を伸ばす
つかむ寸前に手をひいて
僕はじっと画用紙を見た
月をかいてと言われた僕は
黄色の色鉛筆に手を伸ばす
持ち上げたところで元に戻して
僕はじっと空を見た
太陽は赤く
月は黄色い
多くの人がそう言うけれど
それが普通と言うけれど
それはみんなの見え方じゃない
一人ひとりが違うのだから
いろんな色があっていいはず
なのに僕に書いてと言った君は
“普通”の色を待っている
お願いだから押し付けないで
僕には僕の見え方がある
それが僕の宝物
太陽は白く
月は青い
それが僕の見え方であり
それが僕の普通だから