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カタミ
私はなにも残せない
なにもかも
君の所に残したくない
君になにかを残したら
君は私にしばられてしまう
だから私は
すべてを消してきえていく
私を示すすべてのものを
自分できれいに片づけてから
君の前からいなくなる
私が君にあげられたもの
その数はそんなに多くない
だからきっと大丈夫
自分ですべてを消せるはず
だからあとは
あとは私が理解するだけ
なぜ残してはいけないのかを
私がちゃんと納得するだけ
本当は
君にすべてを残したい
君をずっとしばっていたい
私が君に残したいのは
たったひとつでそれで全部
『私のことを――――』