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ホスウ
深い深い森の中
幼い少女が迷っていた
歩を進めるたびどんどん奥へ
元来た道も分からずに
同じような風景の中
少女の不安は広がっていく
森から外へ出ることは
できないのかもしれないと
恐怖で歩速が落ちていく
ある場所で
少女の動きがぴたりと止まる
視線の先には静かな湖面
いきなり姿を現した
鏡面に似た輝きに
惹かれて少女は水を飲む
水はとっても冷たくて
火照った体を冷やしてくれた
焦った心を静めてくれた
再び水を飲んだ後
辺りをぐるりと見渡すと
離れたところに小さな立札
森の出口が示されていた
少女はゆっくり道を行く
今度は横道に逸れないように
再び道を迷わぬように