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雛霧の書  作者: 雛霧
16/49

トウロウ

小さな小さなカマキリが

僕の肩に登ってきた

最初はあまりに小さくて

他の虫と間違えた


手のひらに乗っけてやると

すばやくちょこちょこ動き回って

あっという間に落ちそうになる


僕はあわてて手のひらを並べ

新たな陸地を作ってやった


いたずらに

ちょんとそいつをつっつくと

小さな小さな かまを上げ

僕のことを威嚇した


その姿は

大人の大きなかまきりと

まったくおんなじ姿だった


ほんの1,2センチの大きさで

ちゃんと存在(じぶん)を知っている

ちゃんと自分を持っている


その点僕はどうだろう

僕は存在(じぶん)を知っているのか

僕は自分を持っているのか


考えてみて そして気づく

僕は何にも知らないし

そして何にも持っていない



玄関のドアを開けてやり

カマキリをそっと地面に下ろす


その姿をじっと見て

僕は自分に目を向ける


小さな姿に教えられ

自分をようやく探し始める



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