7、No.⒎77[ラッキー]
視界が真っ暗になり、次に目を覚ましたのは水の中だった。
水面に上がると、どうやら水槽の中の様だ。
水槽の外では白衣を着た研究員らしい人達が興味深そうに俺を見ていた。
上に蓋が付いていて出られない。
「おーい、出してくれ!」
そう言って蓋を叩いても反応はない。
空気が限られていると、酸素濃度が低くなって死ぬじゃないか。
「おい!そういえば俺、ランクQらしいじゃないか!なんか良い武器とかないのか?」
[ありますよ]
目の前に何処からともなく半透明の赤い剣が現れた。
よし!と言い水槽を叩くが、びくともしない。
2、3個同じ様に武器を出したが同じく手ごたえはなかった。
「おい、とにかく瞬間移動でも何でも良いから、この水槽から出してくれ!」
[了解しました]
すると俺は水槽の中に出され、セメントの床に水浸しで瞬間移動していた。
最初からそれやれよ。。。
幸い、Qランクなのか、人間の見た目になってたらしい。
研究員達は、誰だ?何処の人間だ?と言い合っていて、宇宙人とは一つも疑っていない。
水槽を見ても、それは成人の人間だった。
無精髭の男がこちらへ向かって来る。
「No.7[ラッキー]君の孵化に成功した。よく誕生してくれた。僕が研究所の所長田中太郎だ。」
「え?俺がラッキー、、、?」
「まあ何でも良い。君の能力はまだ分かっていない。ただ、No.7だから「ラッキー」それだけだよ。」
「そのNo.って何なんですか?」
「まあ、『振り分けられた数字』くらいの意味しかない。あとは、、、ノリだ。」
「ノリ?」
「、、、あー、まあそんな事はどうでもいいんだよ。」
所長が研究員に目配せをして、ホールケーキを持って来る。
「あっ、ごめんなさい!」
何かの床のコードで躓いてケーキが、苺やロウソクがバラバラと宙に舞う。
誰かがおぼんを持って立っていた。
ホールケーキが運良くおぼんに乗り、落ちたロウソクや苺が元通りの位置に配置された。
その大柄な筋肉質な男は、星型のサングラスをかけて、黄色のマントを着ていた。
こんにちは!と言ってケーキの乗ったおぼんを机に置いた。
「私がNo.7、77。[ラッキー]です!!!!よろしくお願いします!」
深々と頭をさげ、所長と握手をかざす。
「あれ?おかしい」
所長はラッキーを見て言う。
「腰痛が治った!」
喜ぶ所長、研究員、歓声が上がる。
その時、耳元で小さく音が聞こえた。
[先程のはバグです。[ランクQ]ではなく[ランクF]と訂正します。申し訳ございません]
「これが、ラッキーの能力?」
彼の幸運は一過性であるかもしれないと思った。
No.の振り分け。
基本的に「念能力」を持つ生物?を、見つけたら、その順番番号をつければ良いが、それは基準でしかない。
例えば、まだNo.50までしか見つかっていないのにNo.100を登録しても良いと言うシステムである。なので、ノリでNo.7と言って登録すれば、誰が何と言おうとNo.7である。
ルールとして、No.は重複できない。