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「来るんですかねー」
「どうでしょう」
番組の監督は扇風機に身を寄せながら、パイプ椅子に座っていた。彼はテントの下に居たとはいえ、蒸し暑い事には変わり無かった。
視線の先には巨大な円があった。
そこを囲むように霊能力者や胡散臭い宗教団体、野次馬、ごった返すように人々が集まっていた。
「ほんとに来るんですか〜?」
宝島は目を細めた。
「どうします?合成します?」
スタッフが言う。
「いや、待て」
突然静まり返った。
人々の織り成す音も、蝉の合唱も、風の動きも、全てが止まったようだった。
いや、風だけが、乾いたように流れた。
独特な雰囲気が漂った。
それは、監督の制止や威厳では無い。
そこに誰かが来た気配、オーラそのものだった。
その風の流れは次第に監督へ近付いた。
「ユウ……?」
「お前は、宝島か。急いでいるんだ。早くガビ・ゾディアックを呼んでくれ」
「おい、コイツはなんだ!!??また変な自称超能力者か?」
監督はスタッフに聞くが、何も知らないと答える。
「もう待てない。テレパシーで無理やり呼ぶしかない」
ユウが腕を天に向けた。
「おい!!何だこの………耳鳴りは!!??」
キーンという高音がユウの身体から発せられ、周囲は耳を塞いだ。




