60、孤独
「ぉぉおおおお!!」
川島は全力で公園の木を殴った。
「クソッ!!やっぱダメか」
川島はノートにチェックを付ける。
怒り×
喜び×
悲しみ×
疲労×
能力の発現にはトリガーがあったハズなのだが、一向に能力が出ない。たまたま能力が出ただけなのだろうか?
家に帰った。
「ニャーコただいまー。あれ?」
何処にも居ない。
探すと、ソファの上にいた。
「何だここか。」
ホッとするが、直ぐにその気持ちは消え失せた。
身体が冷たい。
ニャーコ???
息をしていない。
どれだけくすぐっても、動かなかった。
ひとまず編集者に連絡しよう。
「もしもし、飼い猫の……」
電話が繋がっていない。
忙しいのだろうか。
思い返せばここ1週間、編集者ともあってない。電話をしても連絡は付かない。宝島博士にも電話するが、繋がらなかった。遠藤は忙しいらしく、川島は孤独な状態になっていた。
そもそも、俺に友人なんていたんだっけ。
職場と自宅を行き来するだけの毎日。最低限の人間関係の遠藤先輩とか、編集者とか、仕事仲間を友達だと勘違いしてた。
所詮俺に友達は居なかった。
電話をかけた。
「あのー、僕超能力使えるかもしれないんです」
「あー?何、超能力?今そういうのいいから。イタズラ電話なら別でしてくれない?」
「いえ、本当なんです」
「あのさ、君「かもしれない」ってさ、せめて断言してよ。嘘なら嘘って記録するから」
「違います……」
電話を切られた。
どのテレビ番組も同じだった。
ガビ・ゾディアックを始めとした超能力ブーム。
スプーン曲げから意思疎通、人体発火にテレポート…
でも確かに「かもしれない」程度ではテレビに出られる訳がない。
ある休日だった。
早朝、寒かったので暖かいコーヒーでも買おうと自販機の前に立つ。
少しだけ今の状況を思い出し、軽く自販機を叩いた。
その時だった。
自販機を軽く叩いたその右手は発熱し、自販機の金属が溶けた。機械の導線が剥き出しになっていた。
「!!??」
川島の後ろにはバットを持った少年が立っていた。
「誰だ?」
「君と友達になりたい。川島さん」




