47、宝島寿限無
宝島寿限無は高層ビルの屋上で腕を組んでいた。
後方数メートルからは、数人のカメラマンが宝島に注目している。彼のすぐ近くには、顔を隠しているのか、そういう衣装なのか、黒子姿で着物を着ている女性が木魚の前に正座していた。
下界からは東京の景色が見える。
ビルの屋上は質素で、床はセメントで出来ていて、四方にある転落防止の為の鉄の柵があるのみだった。
テレビ局のキャスターがマイクを持ち、マイクテストと連呼した声が屋上に響いていた。横にはベテランアナウンサーが両手にスケジュールを確認していた。
「回してください。」
監督は持ち運び用の椅子に座り、神妙な面持ちで言った。キャスターが笑顔を作り、話し出す。
「皆さん、こんにちは!!!さあ、今回はガビ・ゾディアックは何者か!?という事でですね、特番になった訳ですけども、今回はその第2弾!彼の正体に挑みます!彼の正体に最も詳しい宝島寿限無博士に検証して貰うという大企画でございます」
横にいるベテランアナウンサーが、的確な質問をしながらカメラは徐々に宝島寿限無の方へ向かった。
「お願いします」
宝島がトランシーバーを手に取り合図をすると、霊能者は木魚を叩き、お経を唱え始めた。
ヘリコプターはそれを上空から撮影をした。
カメラは上空から宝島寿限無を映し出し、他3つの高層ビル屋上も映し出す。そこにも黒子姿の霊能者が木魚を叩いているのが見えた。
「今回は彼が超能力者じゃないか?という話でですね、霊能力者四人を集め、ガビ・ゾディアックにテレパシーでコンタクトを撮ろう!という企画でございます」
ーーー
寿限無はファミレスの机の上に、握りこぶしを叩きつけた。
「なんで、こんな事になったんですか?俺はこんな事頼んでない!第1私はオカルトを信じてない!こんなオカルト番組に私を呼ぶな!」
まあまあ、と言いながらオカルト雑誌グーの編集者は苦笑いをした。
「ガビ・ゾディアックは死んだ。俺が殺した。この手で」川島は「空気を読む」という物を知らないのか、銃を撃つ手振りをして見せた。
「まあ、ぶっちゃけて言うと、視聴率がね、取れるんですよ。ガビ・ゾディアックって名前が入ってるだけで。死んでる?いやいや、そこはほら、グレーで」
「死んだって川島が死んだって言ってるのにか?ガビ・ゾディアックが生きている前提で話が進んでいるのは何故だ?」
「おいおい、宝島?落ち着け。編集者は嘘をついてない。ただ、死んだ事を言ってないだけだ」
川島が助け舟を出そうとしたのだろうが、火に油を注ぐ発言だった。
「わかった。金輪際、私とは関わらないでくれ。」
宝島はそう言いファミレスを出た。
宝島が帰ったあと、川島と編集者2人になった。
編集者は言った。
「まあ、それは本当なのですが、実は後々で分かったことがあるんですよね」
「なんだ?」
「ガビ・ゾディアックの目撃証言があるんです」
編集者は川島にここだけの話と囁いて写真を出した。
そこにはガビ・ゾディアックが大富豪の息子を人質にとったという手紙が写っていた。




