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HE・IS・EI[平成の殺し屋]  作者: リンゴ
第3章 生命体の慟哭
44/73

42、②

「X、いいか?」

誰かの声が、救急車の中に響いた。

瀕死のガビ・ゾディアックを囲むように、5人の仲間が緊張で唾を飲み込む。

サンも、その中の1人だった。


「了解」

そのXの声は、まるで地獄から聞こえて来るような、或いは悪魔のような嗄れ声だった。



ガタン


地面の底が抜けるように、体のバランスが崩れる。

轟音を立て、前に行く感覚。

衝撃は無かった。



救急車の窓から見えるのは、常識では捉えられない景色だった。そこに青色、黄色、赤、色彩が波を打つように変化していく。



車は前進したかと思えば、急ブレーキをした。

瀕死のガビ・ゾディアックを乗せた担架が車の端へぶつかった。



「着いたぞ」

Xが言うと、皆は口を閉ざした。

命令では無い。だが、それ以上の支配感があった。



サンは、混乱していた。

つい一週間前、ガビについて聞いていて、それから直ぐにガビに関わるとは、思いもしなかった。


「ガビは幼少期、事故で死にかけた。そしてその時損傷部を手術で回復させたと同時に、生命力ーーー怪我をしてもすぐ回復するし、死なないようになっている」と言う事だった。



今、研究所に着いた。

建物内部から警告音と赤い光が繰り返し漏れている。

計画は着々と進んでいる。



ガビを治せる医者は研究所内にいて、ガビを瀕死状態から救うためにその医者を脅す。


一斉に混乱を引き起こして、その隙に侵入。

医者を脅し、ガビを治療させて、すぐに撤収する――

それが「簡単な手筈」だった。口で言うほど、簡単なわけがない。


サンは、安堵すると同時に、冷や汗を拭う。

正直言うと、ガビを復活させるこの計画は無謀に思えた。



――もし、失敗すれば。

その言葉が、誰の声でもないのに、サンの頭に突き刺さる。 責めるような、呪うような、そんな抑揚の声だった。

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