40、確保
「ガビ・ゾディアック、確保!」
ぞろぞろと10数人の警備隊がコンテナの中に入り込む。ガビへ銃口が向かい、指揮官の指示を合図に、一斉に弾丸が撃ち込まれる。
ガビの胸は抉れ、身体には十……いや、100発を超える弾丸が撃ち込まれる。彼が倒れた床には血がベッタリと付いていた。
「能力者とはいえ、人間だよな。」
銃が並び緊迫する中、川島は1人首を掻いた。
横には黒いコートの男が倒れている。
川島から至近距離で撃たれたからか、即死だった。
それからは早かった。
ガビ・ゾディアックの遺体は直ぐに運ばれた
作戦本部に戻る車内、誰も口を開かなかった
ーーー
「がっははははは!!!」
ドン、という音がして、見せつけるようにして豪快に笑った。居酒屋のカウンターで川島は興奮が収まっていなかった。
「あの国家レベルのガビ・ゾディアックを俺が倒したんだ。宝島、ドーンと日本酒行こうぜ?今日は祝いだな」
役目を終え、晴れ晴れとしている川島とは対照に、宝島は釈然としないようにカウンターの木目を見ていた。
「まだ…即死について解明できてない」
それに、と彼は続ける。
「ガビ・ゾディアックが撃たれた後、彼が俺を見て笑った気がしたんだ。」
「…まだ言ってんのか?もう終わりだよ終わり!!」
まだ汚れていない左手で宝島の肩を摩る。
しかし、宝島の気分は晴れないままだった。
ーーー
暗闇だが、音がよく反響していた。
その息遣いからエイは生きていて、ラッキーはもう生きていない事が分かった。
険悪な空気の中、それだけは分かった。
「き、記憶が戻ったんだろ?じゃあ、それが新しいヒントになると思う。とにかく今は脱出しないといけない」
「そうだな。ホントの敵はガビだ。」
劣勢になったからか、勢いを無くしコウは完全に納得してはいなかったが、渋々同意した。
「どうする?」
ニコリが言った。
それが俺に対しての言葉だと気付くのに数秒かかった。
「俺達は内部の人間だ。お前、エイの考えも取り入れるべきだろ?」
と、コウが言う。
しばらく思案してから言った。
「ニコリ?記憶は鮮明なのか?」
「え、うん。」
ニコリは唐突な質問に驚いているという顔をしているのだろうか。
「ガビはどこから逃げた?どこにワープした?」
「ちょっと待って」
ニコリが円を描き、ワープした。上部からダメージを受けていないのか、蛍光灯は鮮明に付いていた。
ニコリと初めてあった時の通路、ラッキーと初めて逃げた時の通路、コウと出会った通路、それと同じだった。通路は迷路のように曲がりくねっていた。
「コウ、ここはどこなんだ?そして、ニコリ。どこで脱出したんだ?」
そう聞くと、まるで土地勘を知っている地元の住民のように、直ぐに答えた。
「多分、地下2階だ。」
ニコリは、ここかな。と、言いながら何の変哲もない壁を触った。
「エイ、手伝って」
ニコリに言われ、その壁を触るも何の取っ掛りもなさそうだった。
そう思っていると、バコンと音がし、壁が向う側の闇に消えた。四角い通路だった。狭い通路だったが、這っていけば十分な大きさだった。「こう言う時は、もっと簡単に考えるんだ。」コウが俺とニコリに言った。でも、それはどこか自分自身に言い聞かせているようにも思えた。
「まずはコウから行こう。スカイの能力で通路がわかるだろう」
「ニコリは、最後だ。もし誰かが来ても、円を描けばいいだろう」
そしてコウ、エイ、ニコリの順番でその狭い通路を入ることになった。
ーーー
地下の制御室では、上部の研究所の影響を受けていなかった。制御室から全ての通路のカメラが見える。
「No.20、No.16。逃げられると思うなよ?」
画面越しに何かを含むような笑みを浮かべる。
彼の後ろには、研究員が数名並んでいた。




