38、敵
円の中からスカイのいる場所へ向かう。
暗かったが、1人が息をしているのがわかった。
「お兄ちゃん!大丈夫だった!?」
ニコリの声が響くだけだった。
でも、スカイが畳み掛けるように沈黙を吐いているように感じた。
「近寄るな」
兄妹とは思えない口ぶりだった。
仲間割れした時の嫌悪ではなく、親の仇を打つような憎悪だ。
「お兄ちゃん?」
ただ、それだけが響いた。
そんな中だったが、兎に角スカイだけでも生きているようで良かったと安堵する。
「お前は兄弟じゃないんだ!全部嘘だ!!!!!」
何を言っているのか分からなかった。
しかし、ニコリもハッとしている様だった。
「私達は、他人だったんだ…やっぱり」
ニコリは予感が当たったというような様子だった。
「な、何が起きたんだ!?」
俺はまた立つしか無かった。ここに俺の居場所は無いと思った。俺は部外者だった。
考えたくない、今まで脳裏に浅く埋めていた負の感情が脳内を暴れ回った。
「敵なんだ」
スカイはただ、大地に吠える様に言った。
スカイニコリが敵だったなんてよく分からなかった。
仲間だったじゃないか?
初めは多少意見が割れたが、結局は家族だったじゃないか?
少なくとも家族出なくとも家族のような存在だろう?
あと、考えられるのは、洗脳が解けたと言った所だ。もしそうなら、彼は過去の記憶を思い出したのかもしれない。
「ガビ・ゾディアックを逃したのはお前だ!」
スカイがニコリに言い放った言葉は理解できなかった。そいつは誰だ?ガビは確か女性の名前、ゾディアックは…一応名前か。
どっちも名前?日本語で言えば 苗字が花子で名前が太郎という感じだ。
ーーー
スカイとニコリは仲良しだった。
2人は親友。
しかし、ニコリはガビ・ゾディアックにワープを利用され、逃げられてしまった事で、仲は悪化した。
それも可笑しくなかった。彼の友人がガビの脱出により5人も死亡したのだから。
特に、スカイが能力を使ってニコリを殺そうとしていた。ニコリは粗スカイに殺されかけ、救急隊が助けるまで生死をさまよっていた。
このままではスカイはニコリどころか、他を巻き込んで人を殺しかねない。
仕方なく洗脳をし、兄弟だという風に強制的に仲を良くしたのだ。
彼の能力は強力だった。その能力は不明。しかし、人を簡単に殺せる程には能力があった。
「ニコリ、お前すげーじゃん!」
そう言い、ニコリの頭を撫でる。
良い気になったニコリは、彼の言う通り円を描き、ワープをさせてしまった。
ーーー
「嘘、じゃあ…両親のタロットは?」
ニコリも半ば信じがたかった。
そういえば、それを言い出したのはスカイだけだった。ニコリ自身にはそんな記憶は無い。絶対に兄弟だと思っていた
「ああ、全て嘘だったんだ。命はもう戻らない。」
険悪な空気だったが、殺し合うことは無かった。そんな元気は無かったし、絶望が重く、気力も無かった。




