37、再認
ガビ・ゾディアックはただ、カッターナイフを振り上げた。その時だった。
ガビ・ゾディアックはバランスを崩し倒れた。
「ガビ……!?」
ガビは両手で頭を抑える。
「……何だコレは!?頭が……痛い!!!」
それは数分間続いた。
ーーー
「ああ、エイ心配しないで…記憶が蘇って……脳が混乱して来てるの」
ニコリの言う事が分からなかった。
ただ、タロットカードが悪魔から世界に変わったのは本当なのかもしれないと思った。
「記憶?それにしても大丈夫か?」
それから3分くらいだろうか、それくらいの間ニコリは頭を抱えていた。
「分かってきたわ」
混乱が無くなった時、ニコリは言った。
「何が?」
良いから!と言い円を描く。またワープする気だ。
ワープの先には全体が白く、天井が10メートル先まで続いている部屋だった。
一面にセメントの欠片や鉄屑が散乱している。
目の前には白いシャツの双子がいた。真ん中には無限を表す∞マークがあった。
「ねえ、振り返ってよ」
ニコリが言うが、何も反応しない。
もっと大きな声で言う。
「ねえ、振り返って!出たいんでしょ?No.2」
彼女達はニコリの声に振り向いた。
2人は同時に2メートル近い高さまで飛び上がり、片方は右、片方は左の拳を前に出し、俺にぶつける。
普通とは思えない風が発生し、床の鉄くず達が宙に舞う。それに、火傷しそうな程の熱風が頬を撫でた。
「何だ……コレ」
彼女達は同時に言う。
「貴方もそうなのね?強いシンパシーを感じるわ」
「どう、生きてる?」
ニコリが彼女達に聞く。
「おい、この女性と何か関係があるのか?」
「蘇ったの、記憶が。」
「……生きてるよ。誰?男1人」
彼女らのうち1人が言った。
「兄ちゃん……生きてたの?」
ニコリは泣くでもなく、ほっとしていた。
彼女は意識する前から、兄の死を覚悟していたのかもしれない。
「シンパシーだからそれ以上は分からないわ。ただ、結構深い地下にいるっぽいね。」
「すみません。あなた達は、脱出しようとしているんでしょうか」
「勿論。貴方だってそうでしょ?強い感情を感じたわ。今もそう」
彼女達はそういった。
片方はミンミン、片方はグウグウというらしい。
「なあみんな、俺はどうしたらいい?俺はラッキーの犠牲から、絶対に自分の力で脱出したいんだ」
俺がそ言うとて、ミンミンは吐き捨てるように行った。頬の右側にホクロがあるのがミンミンだ。
「それを自分で考えるしかないよ。」
それは絶望を受け入れているようだった。
「分かった」
俺は言った。
「俺たちは、絶対に脱出する。No.nullを目覚めさせる」
「どうやって?」
ニコリがすかさずきいた。
「それは……とにかく、生き残っている彼を助けよう。」
「分かった。私も先ずはそれだと思う」
ニコリが円を描き始める。
ミンミンとグウグウは口を一ノ字にしているようだったが、少し口角が下がっている。それは、もう会えなくなる人を見送るような抗いと諦めの混じった顔だった。




