31、ガビの相棒
「そうか、もしかしたら電気系の能力者が存在するのかもしれない」
研究室の中で宝島寿限無は首を傾げていた。
「遂に、超能力を信じ始めたんですね。宝島博士」
氷山は例の雑誌を握りしめ、寿限無に話しかけた。
「違うんだ。確信に近付いている。科学的にアレなら成り立つんだ」
「どういう事ですか?」
まあいい。君に言っても仕方ないだろうといい、机に向かう。
ーーー
「やったね。」
ガビゾディアックは黄色の帽子を被った少女とハイタッチする。ガビゾディアックの青年の平均的な身長よりは頭1つ分低かった。ハッキリとした目鼻立ち。キラキラとした目でガビを見る。
「あ、充電ある?」
少し高い声でガビのスマホに目を向ける。
「ヤバっあと1%だ。頼む!」
「了解!」
次の瞬間、ガビの手元に閃光が走る。
すると、ガビのスマホの充電が1%から100%に跳ね上がった。
「やっぱお前すごいなレイコ」
頭を撫でられ、顔をほころばせる少女。
「これくらいは、できるよ」
「助かったわー。お前がいなければ今頃どうなっていたことか。お前がいなければ充電切れで死んでる」
「ただし、リチウムイオン電池は劣化するからね」
「分かってる。だがこのスマホもすぐ捨てるヤツだ。スマホはまた俺らの能力で変死させて奪えばいい。」
「そういえばそう言ってたね。ガビ」
「プラズマ認識阻害取ってもういいだろう」
OKと言い、レイコとガビゾディアックの透明化が解除され、駐車場を後にした。
ーーー
「ガビ・ゾディアック対策班を制定する。」
後藤六郎は組んでいた腕を戻した。
部屋にいる警備隊やその他の関係者、更にはその外にいるジャーナリスト等、キャスター、テレビ視聴者さえもそれに異論を唱える者は居なかった。
ーーー
「超能力は存在すると思います。」
川島は編集者にそう告げた。
ーーー
「超能力は存在しないと有り得ない」
宝島寿限無は氷山の前で断言した。
ーーー
「超能力は存在するかもしれない」
ニュースはそう報道した。
ーーーー
各々が、ガビ・ゾディアックに向けて動き出した。
―――――
No.2は被検体として密室の中に閉じられていた。
「どうだ?進捗は」
一人の博士が白髪を弄りながら入ったばかりの若手研究員の後ろに立った。
ガラスの下に見えるのは成人した2人の女性。
2人ともソックリそのままの容姿をしていて、太陽光を浴びていないにも関わらず肌は白く無かった。
特殊な研究の賜物だ。
「10年近く閉じ込めてるんですよね?」
研究員が尋ねると、人聞きの悪いと言いながらも否定はしなかった。
「まあ…そういう所だ。彼女の爆発的な力はどんな物なのか未だに不明だ。能力の見当はついているのだが…これ迄に3回も突如として爆風を……いや、爆発を引き起こしている。」
「それは何度も聞いてます。もう5回目です。」
「あら、そうだったかね」
と言いながら少し顔を赤くする。
「知ってますよ。彼女の能力は……No.2[共鳴]………!?」
次の瞬間、轟音を立てて爆風が発生した。彼女2人を中心に爆発的に爆風が……いや、彼女2人を中心に赤く、光るように白く強いエネルギーが発生した。
そして数分間それは続いた。
その暴風は、台風とか嵐とかそんなレベルでは無い。
10メートルよりもっと上に有る観察室のガラスは割れ、セメントに貼っていた鉄は1秒も経たず曲がり剥がれ落ちる。
剥き出しになったセメントは水分を一気に失い乾燥しひび割れ、セメントや鉄の欠片を含んだ竜巻が発生した。
それだけには留まらなかった。
数分にも渡る暴風により鉄のドアは簡単に吹き飛び、外に流れ込んだセメントや鉄の欠片は研究所の通路や人間に当たり次々と致命傷を負わせていく。
仕舞いには発生した竜巻により物が飛び回り壁を破壊し、各所にある導線を次々と切断する。舞い上がり発生したホコリに電流が流れ火災が発生する所もあった。
更には、制御室の導線をも切断し、飛び回るプラスティックや鉄の欠片がスイッチを押し始める。異常な操作により研究所内の電気やシステムが完全に停止してしまった。
これは実験室……研究所で最も強い能力の暴走であったし、想定外であり、数分の間に研究所はタダの強固な箱へと変わり果てた。




