22、科学か偽りか
宝島寿限無は腕を組み、5分ほど思案した。
「どうです?宝島博士」
氷山がそう言い、うーんとだけ返す宝島寿限無。
「ちょっと貸してくれ。それ」
宝島は氷山から週刊ぐーを奪い取り、デスクに置いた。
「ねえ!私の買った……」
「ちょっと出ていく」
「はあ?私のグー!!」
宝島は、氷山には目もくれず研究を後にした。
ーーー
「俺の能力はどうなってんだ?今何か思いついた気がしたが、もうすっかり忘れてしまった。あれは夢だったのか?」
ガビ・ゾディアックは立ち上がり、上を見あげた。
遠くて誰か分からなかったが女子か。
制服を着ているから絞るのは難しいだろう。
驚いて逃げる所では無くなっているのか、一瞬俺を覗いているのが見えた。
ガビ・ゾディアックは手をその生徒へ向ける。
「やっぱり無理か。俺の能力も万能じゃない。」
昼休みのチャイムが鳴った。
「うわやっべ。」
ガビ・ゾディアックは急いで校内へ入っていく。
ーーー
「ふーんなるほど。その、超能力ってのがコイツらを殺したって事ですか?あ…すみません殺害ですね」
「はい。まさかここで宝島さんに会えるとは思ってもいませんでしたよ。」
警察に行ったと思えば、宝島は遺体安置所に向かったまる
遺体が三体、仰向けになっている。
それぞれ死因が違うという。
「あー、そうか僕。あの過去の難事件のトリックを見抜いたから有名になってたんですっけ」
「そのお方と出会えて光栄です。私、検案……まあ解剖とかやって死因を調べたりしてます。宮崎です」
と言い、宝島に名刺を渡す。
「ごめんなさい。僕、名刺持ってないもので…」
そう言ってボサボサの髪をかいていると後ろから手が現れた。氷山である。
「私たち、研究所で働いてます。こういう者です」
「おお、この助手は優秀ですね。よろしくお願いします」
氷山がそう言うと、宝島は目を細める。
「お前、なんでさっきからシレッと中入って来てんだよ。ちゃっかりスーツ着て仕事できます感出てるけど、お前何もしないだろ」
「宝島さんが私の雑誌持ってくから来たんですよ」
「いいや、お前は来たかっただけだろ?雑誌なら車に置いてる。何しに来たんだよお前は!」
「まあまあ、ここで話してても仕方ないんで、奥の方で説明しますね。」
そう言って案内されたのは狭い一室。
人が2、3人横に寝られる程度は有るが、とても生活出来る場所とは思えなかった。
「博士、ここの入り口に仮眠って書いてます。なんかここ面白いですn……」
「お前は黙ってろ」
「はい、では一応紙で渡しますね。」
数枚のプリントがホッチキスで止めてある。
宝島はペラペラとそれを捲った。
「なるほど、超能力の線もあると。それはファンタジー的な考察ですか?もしくは、科学的な考察ですか?」
「そうですね。百聞は一見にしかず。ちょっと見てください。」
宮崎が見せたのは1人の遺体。
「うわ、全身が赤くなってる!?」
氷山は少し慄く。
「はい。外傷はないので、何らかの液体、或いはアレルギーなどの可能性があります。」
「具体的な死因まだ分からないという事か?じゃあ、超能力は関係無いのでは?」
「実は、この事件の犯人が超能力を使えるという噂があるんです。なので、早く正確な死因に辿り着きたい。そんな時、宝島博士がいらっしゃったので、本当に助かりました」
「炎症或いは皮膚へのなんらかの異常が出ている遺体、黒焦げの遺体、内部か外部から凍った遺体があったという話だね?」
博士は続ける。
「うーん…、そして、彼を撃ったであろう銃弾は突如高温で熱された様に金属が変形していた。あとは、警備隊の銃も同じように熱されたように変形していた。」
「火傷の範囲に対して、気道にススがない。局所的に火傷している。」
「はい、その通りです。録音によると、彼は全員を殺害し、その後に死因を作り替えたという訳では無いんです。突如として身体が燃えた者、身体が氷のように冷たくなり死亡した者、突如死んだ者。仮に炎の能力者であっても、一度に氷の能力や即死の能力者を持っているとは思えない」
宝島は笑う。
「ファンタジーで済ませるのが君の仕事か?超能力と言えばなんでもアリだ。例えば全部万能の魔法で火を出て、人を凍らせる。『実は、犯人は魔法使いでした』君が言ってる事はそう言う事だ。」
「何か思いついた事はありますか?」
宮崎は聞いた。
「分からない。私もすぐ何でも分かるわけじゃない。少し持ち帰らせてもらうよ。」




