19、偽称
「それで、どうするんだ?」
全員が亜空間に集まった後、すぐさまNo.15は俺とラッキー、ニコリにたずねる。
「それより自己紹介しよう」
ラッキーが言い、各々が自分の名前と一言を言う。
「俺はNo.15。能力は[スカイ]。名前はコウ。最大5km先まで風を操れる。この能力として、風が通る時、風の周り具合で道を見る事ができる」え
「見る?」
ラッキーが首を傾げる。
「そう。見るんだよ。ちょうどコウモリが鳴き声の反響で位置を把握するようにね。」
No.15コウはそう説明した。
「なるほど。作戦としてはこうだ。」
コウは続けて言い、それを聞いたNo..シリーズと俺は興味深そうな反応を示す。
ーーー
「ユウ、ここだわ」
そこは本拠地の地下だった。
シイはユウの目の前で地下シェルターの扉を開ける。
そのまま階段を降りていく。降りるとセメントで造られた細長い、一本道の通路があった。
光といえば閉めたシェルターの扉から漏れ出る光と、消えかかった天井の蛍光灯だけで、薄暗い。
だからか、シイは懐中電灯を持ってきていた。
「ついたわよ」
「何これ」
セメントの通路を右に少し曲がるとドアがあった。
しかしそのドアには南京錠がかけられている。
それを見て、シイは舌打ちをした。
「シイ、パスワードは?」
「知ってる訳ない。」
鉄のドア。ドアごとぶち壊すことも出来そうにない。
こうなれば南京錠を破壊するしかない、とユウは思った。
「じゃあ私、ちょっと出ていく」
「ダメに決まってるでしょ」
「へ?え?」
「ユウ、貴方は不法侵入したのよ」
シイの言葉に驚くユウ。
ユウの後ろから誰かの気配がした。
後ろには無音銃をを腰に掛けたワイがいた。
目の前には、怖い顔をしたシイが無音銃を右手に持っていた。
「ちょっと、2人とも何してるの?ドッキリ?ドッキリでしょ?うわぁーって!!あービックリしちゃった〜!」
ユウは両手を上げ、苦し紛れに笑顔を作った。
彼女は一本道を通って逃げようと1歩を踏み出す。
「待て。俺は能力[ループ]を持っている。もし逃げても、お前は永遠に外へは出られない。見ろよ、床を」ワイが言う通り床を見ると、鮮やかな血がセメントにベッタリと着いていた。
「ねえ、シイ、ワイ?何がしたいの?私何もしてないよね?」
「ユウ、あくまでシラを着る気かしら?可笑しいと思ったけど、案の定、あなたはNo.シリーズのようね?」
「え……根拠は?根拠はあるの?そもそも宇宙人はNo.シリーズになれない。」
シイは無音銃を構え、少しだけ笑顔を見せる。
「そう、No.シリーズになれるのは基本人間のみ。だが。例外として特異体質の宇宙人はNo.シリーズになる可能性があると言われている。貴方はNo.シリーズだ。No.7[確率操作]さん?」
ワイも無音銃を構えた。
「詳しい事はこの際どうでもいい。エイの無音銃からエネルギー弾が出たのは1000,000分の1の確率。微かなエネルギーが引き金を引くその瞬間、お前は確率を操作し銃中に奇跡的にエネルギーを発生させた。引き金を引いた瞬間、1発分のエネルギーが発生する」
それに被せるようにシイも言った。
「それに、記録ではエイの地位がエイからエフに移動する瞬間、突如バグとしてランクFがランクQに入れ替わったのよ?確かに微細なバグはこのランクシステムで数億分の1の確率で発生する。でもあの時はそれが上手く働いて、ランクシステムがバグってたの。それも局所的に。おかしいと思わない?」
ワイは無音銃を持ち替えて言う。
「お前は、バグでエフをエイに殺させた。そして、エイのランクシステムに局所的にバグを起こさせ移動させた。」
「多分だけど、今頃研究所に行かせたんだろ?」
「わ、私が何を目的にそんな事を……」
「ハラグチを殺したのはアンタだろ?」
ケイが詰める。
「なんで?ここにはパスワード式の施錠……」
「ここには南京錠しか見えないが、どうしたんだ?パスワードがあるのか?」
「あ、そうそう南京錠南京錠!!」
と言うが、シイは軽くあしらう。
「どうせユウはこうでしょ?7777」
すると南京錠が自動で外れ、ドアの鍵が解除された。
ドアを開けると、その一室には殺された血の跡があった。ハラグチの腹の1部が切り取られている。
今までとは打って変わって、ははははは!とユウは大きく笑った。
「あーもう良いわ。全て言うわよ。」
ユウの声が室内に響き渡る。
「エイは邪魔なの。私の能力は強いけど、エイに知られちゃ私の計画が全部パーになる。アイツは律儀だから、私が人体実験をするなんて言ったら即刻射殺されるもん」
「君たちの推理が惜しいところは、銃弾の中身が無くなったなんてウソ。あと1発だけ残ってた。エイがエネルギー切れだと思うように、最後の1発は出ないようにバグを引き起こさせてたの。まあエフの前で解除させてたけどね」
「あと、ワイ君ありがとね。とても役に立ったわ」
「ま……まさか!?」
ユウが言うと、ワイは後ずさりする。
「そう。そのまさかよ?超凄腕の宇宙医師に無傷で移植してもらった。No.0ハラグチの能力をね」
ユウが一本道にいるワイへ手を仰ぐようにした。
その瞬間、轟音を立てて風が発生した。
ワイは容易に出口へと飛ばされた。
「……お前、その魂胆だったとは」
「私もあなた達を殺すわね。殺した分だけランクが上がるシステムだから、規則通りにさせて貰うわ。」
無音銃を撃つと、小さな断末魔が聞こえた。
それ以外は、いつもの日常だった。




