16、No.15[スカイ]
No.20ニコリが円を描き、着いたのは研究所の通路だった。
「え、研究所出ないの?」
「私、1度見た所しか行けないの。戻る?」
「いや…それはいいけど」
「エイ、いやエフ君。ここはニコリに任せよう。俺らよりニコリの方が詳しく知ってる筈だから」
「いいから着いてきて。多分ここから直ぐで出口だから」
そんな簡単に出られるのか?と思いながらも着いていく。
その途中、何故か前に進めなかった。
「どうした?エフ?」
No.7.77ラッキーとNo.20ニコリが俺を見ていた。
目の前に通路があって、障害物も無いのに前に進めない。
見えない透明の壁があるみたいに、その先に進めない。
「どうした?ここから出ようとしてるのか、ニコリ」
短髪の青い服を来た青年が10センチ程宙に浮いていた。
「念能力!?」
「お前も知っているのか。その反応からして、君は無能力者か?」
「そうだ。というかそれが普通だろう?」
「それもそうだな。それよりニコリ、戻ってきなさい。逃げても警備隊がお前を見つけ出すだけだ」
「お兄ちゃん、邪魔しないで!」
ニコリが叫ぶ。
この青年は、ニコリの兄だったのか。
どちらも似ている要素が見当たらず、想像がつかなかった。
「こっちに来なさい。もう知っているだろう?俺はNo.15能力[スカイ]。お前がどう逃げようと竜巻を起こしてお前を引きずり戻す!!!!!!!!!」
その青年が言うと、目の前にある壁が消え、俺は床に転んだ。
白い竜巻が見え、ニコリの足が青年の方に引っ張られる。
「まだ言ってるの!?もう、それ止めてって言ってるでしょ!!」
ニコリは必死に抵抗する。
次の瞬間、ニコリは自身がくぐれる程の大きさの円を空中に描いた。
竜巻に引っ張られないように、その「円」に入ろうとするが入りきれず、円に掴まるのが精一杯だった。
次第に竜巻は強くなり、俺とNo.7.77ラッキーも引っ張られていくのを感じる。
「おいエフ!どうする!!!!」
「No.7.77ラッキー!お前の方が能力者だ!!No.シリーズだろ?寧ろお前がどうにかしろ!!!!!」
「そう言われても……よし!やってみる!!!」
ラッキーは、意を決したように「うおー!」と叫ぶ。
そう言っている内にも竜巻は強くなっていく。
ラッキーの叫びはもはや聞こえない。
次の瞬間、天井の照明が消え、周囲が薄暗くなる。
竜巻が突如として止まり、ニコリの円も消え、ニコリは床に落ちた。
「クソっ!No.nullめ。今日はツイてないかもしれない。シャッフル、ドン!!!!!!」
青年が悔しがり、下にカードのような物を叩きつける音が聞こえた。
数秒後、照明が戻った。
「やっぱりだ。今のタロットカードの結果は『15……!悪魔!!!!!』、今日は降参しよう。」
青年は床に落ちたカードを見て顔を歪めた。
「ニコリ、お前の兄なのか?何が起きてるんだ?」
「あれは私のお兄ちゃん。施設内でNo.100のランダム選定の時にNo.15に選ばれたんだよ。」
ニコリは続ける。
「タロットで言えば悪魔。最悪のカードの番号。そして、No.選定日、その日両親は研究所内の事故で死んだ。」
「彼は、両親がタロット占い師だった事もあって、それからタロットに傾倒しだしたんだ。」
「なるほど。つまり君の兄さんはタロットキ〇ガイだった訳だな?」ラッキーは淀みなく言った。
「私のお兄ちゃんを悪く言わないで!人聞きの悪い」
「すまん……」
「まあ…事実だけどさ。」
「クソ!!クソ!!!クソ!!!!なんで俺はいつもこうなんだ!!何度研究所から出ようとしても絶対に『悪魔』が出てしまうんだ!!!!!!!!!ニコリ、絶対に出るなよ!!!!!きっとお前も研究所から出れば死ぬんだ!!!!!!!きっと、みんな死ぬんだよ!!!!!!!!」
No.15は倒れ込み、床を叩く。
「おい、見ろよ。兄貴よ」
あれだけ竜巻が起こっていたら無理もないだろう。床にはタロットカードが散らばっていた。
「床のカードは良いからさ、手元のカードを見てみろ。俺の算段通りなら」
「…………!?!?!?!!」
No.15は手元を見る。
手元にあるカードは少なくなっていた。
もうカードは数枚になっていた。
しかしNo.15はそれを見て唖然とし、目をおおった。
「正義……女帝、、皇帝?戦車……!!!恋人!!!!?」
No.15[スカイ]は頭を上げ、この声色は希望に満ちていた。
「運が……やっと運が!!!俺に回ってきたんだ!!!!!!!!」
「さあ、俺らと脱出しようぜ?兄貴」
「そうだな!!絶対に上手くいくはずだ!!!!!」
ラッキーとニコリの兄は握手を交わす。
そうして、俺とラッキー、ニコリのの他にNo.15で脱出する事になった。
「今日は疲れたし1回皆で寝るとするか」
「そうだな。ニコリ、亜空間用意できてる?」
兄を横目に、ニコリは円を描く。
「今書くから」
ニコリとNo.15は先に円の中に入る。
「おい、ラッキーどうした?入らないのか?」
「いや、ちょっとな。すぐ行くから」
ラッキーはエフに背を向け靴紐が緩んだなどと言う。
「あっそ」
エフは亜空間に入っていく。
手で口を覆い、ゴホゴホと咳をした。
その手のひらには血が吐かれていた。




