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HE・IS・EI[平成の殺し屋]  作者: リンゴ
第1章 能力者の予兆
13/73

13、ニコリの記憶

1993年ーーー彼女は13人の内の一人だった。13人の少女が白い床白い壁の部屋に一直線に並ぶ。その部屋は奇妙で、高さ10縦横は10メートルという真四角の部屋。角に1つドアがあり、少女の目の前の壁からは上と下に研究員が此方を見ているのが分かった。

彼女ーニコリ。別の名を仁田心にった こころ

白いシャツの真ん中には、無限を表す、8の字を横にした∞のマークが書いてあった。彼女らの頭蓋の左後には四角いガーゼが被せてある。手術痕だ。13人全員がそのシャツを着、1列に並ぶ。彼女、仁田心はその中でも最年少だった。

「行きましょう」白衣を来た若い、白髪の中性的な男は無機質な声で言った。

その時、ニコリ(仁田心)は、隣にいる少女1人の腕を掴み、ドアの方へ走った。

「待て!!」白髪の男が言うも2人は直ぐにドアにたどり着いた。

しかし、そう簡単に脱出出来る訳が無い。彼女はテレパシー器官を脳に移植していたが、他の少女同様、能力は発現していなかった。

ただ、13人のうち、1人能力が発現した者が居た。「よりにもよって、能力発現者を連れて逃げるなんて……」白髪の男は右手を2人の彼女へ向け、「止まれ!」と言う。


だが、その時には2人の姿は消えていた。「危なかったねヒーチャン」と笑う仁田心に対し、彼女は笑顔で返した。

彼女の名前は かがみ 人見ひとみNo.19[ミラー]ニックネームはヒーちゃん。

彼女の居る所は、さっき同様の白い部屋だった。彼女の能力[ミラー]により、ドアノブの金属が反射している部分を鏡だとし、その鏡の世界に入り込んだのだ。


「ねえニコリ、この研究所から出たら、何する?」「私?ニコリは好きな物いっぱい食べたいな」「そういうと思った。」そう言ってヒーちゃんが取り出したのは朝食の時に職員が食べる用のパンだった。

「何それ……」「盗んだのよ」


「それって、ダメなことじゃないの?」「大丈夫。この研究所だって私達の事勝手に此処に閉じ込めたんだからね。それに、これはミラーの能力で手に入れた、鏡の中の世界の物だ。」

「美味しい〜」ニコリはその歳にしては大きすぎるパンを幸せそうに頬張る。

「良かった。ニコリ。食べ終わったら逃げよう」「どうやって?」

しかし、その時気づけば、鏡の世界ではなく現実世界のドアノブの前に立っていた。


「ああそうか」白髪の男は、腕時計を見た。


「今日は、月に1回のNo.null様の実験時間だったな」

No.nullが何だか分からないが、その瞬間だけ全ての研究所内の能力は停止或いは解除されてしまうのだ。いつも通りなら、あと10分は誰も能力が使えない。

今日は運が悪かったな。そう言い、2人は諦めて列に並び直した。

「ニコリ、大丈夫だった?急に逃げたけど」列に並ぶ横のミンミンとグーグウが小声でニコリに話しかける。

「うん。急にNo.nullが実験の為に目覚めさせられたから逃げられなかったけど、要領は掴めたかもしれない」


彼女は双子だったからかよく分からないが、2人合わせてNo.2。13人の内の一人であった。

彼女2人は生まれつき、ある程度テレパシー器官への脳の受容性が高かった。ミンミンは高度な移植したテレパシー器官を脳に馴染ませ、能力を強化させる実験を行い、逆にグーグウは簡易的なテレパシー器官移植と簡易的な能力強化を行うという、双子という事を利用した、能力強化の方法で具体的にどれくらいの差が出るのかという対照実験が行われていた。結果としては、超能力の強化には、本人のポテンシャルや向上心の影響が半分を占めている可能性が挙げられた。


No.nullはどうやら、この超能力の完全体だと言われているらしい。No.nullは人間で、脳をスキャンすると何処かしらテレパシー器官への抵抗があり、細胞がそれを受け入れるのに時間がかかる。超能力強化はその適合を強める事で強化されるのだ。そして能力者はその為に日々研鑽を重ねる。この13人も、その対象であるという。


だが彼はテレパシー器官との相性が良く、物凄い早さで移植した脳がテレパシー器官を細胞が受け入れ、脳が進化して行った。能力は未だ不明。だが、彼は水中で眠らされているが、起きている間は少なくとも研究所内の能力者の能力が一時的に使えなくなる。


ニコリは7歳にしては難しい話が多く、首を傾げるばかりであった。ヒーちゃんに拠れば、本来宇宙人持っているテレパシーや念能力を発現させる脳の分野を人間に移植し、適合すれば何らかの超能力が手に入れられるという。現在、この研究所では、この13人もその脳移植された内の1部であるという。それだけは分かっていた。

ただ彼女もここ迄の記憶はあるが、その他は研究の際に忘れてしまった。おそらく、研究中に意図的に忘れるようにされたのだろう。


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