11、ナンバースレイヤー
「ここっすかね?」
「ええ。そうですね」
黒いスーツを着た2人の男女が、バイクを降りた。
彼らは、「平成」の本拠地、一見なんの変哲もない山の中の建物を見上げていた。
「なんだい?基本色々いるが現在3人が不在。要件を教えろ」
スーツだが宇宙人の顔の男が無音銃を構える。
彼は平成の本拠地の上位層。「ワイ」である。
彼らはその事は知らないが、銃を持っていると言うだけでその場に緊張感が宿った。
「……はっはは。いや別に、俺ら迷っちゃってさ。な?」と男が言うと、女は頷いた。
「そうか。ならいいが……」
「じゃ、そゆことでバイバイ!」
バイクに跨りかける男に向かってワイは言う。
「お前ら、No.って知ってるか?」
「……し、知らねえけど?何それ」
「やはり知ってるんだな?No.ゼロ「ハラグチ」に会いに来たんなら合わせてやる。ただし、何か余計な事したら殺す」
「なんだ、話が早いじゃないか。そう、俺らはNo.シリーズを見つける為にここに来た。詳しい理由は教えたくない。」
「お前ら、強行突破で建物爆発でもしてNo.ゼロを殺しそうだし、タダで連れてってやる。」
ワイは続ける。
「ただし、質問がある。」
「なんだ?」
「No.ゼロの味方か?」
「味方じゃない。どちらかというと敵だ。」
「ならいい。着いてこい」
ワイは本拠地の地下室へ歩いて行く。
地下室は暗く、天井の電球だけでは薄暗くてハッキリと物が見えなかった。
ワイは懐中電灯を頼りに奥へ進む。
その先へ進むとドアがあった。
「おい」
ノックすると、No.ゼロ「ハラグチ」の、はーいという間抜けな声が返ってきた。
「入るぞ」
ワイは「ハラグチ」の居る部屋へ入る。
続けて男と女が入った。
入った瞬間、ワイの背後に無音銃が突き付けられる。
その瞬間、ワイは待っていたとでも思えるほど素早く両手をあげる。
「俺たちはナンバースレイヤーと言われている者だ。理由は言わない。俺はこのNo.シリーズを殺す為に来た。お前はタヒね」
男は引き金を引いた。
そのハズだったが、ワイの身体は破裂しなかった。
「な、なぜ?」
驚く2人に極めて冷静に答えた。
「俺もNo.シリーズだ。」
「お前……も念能力を使えると?」
「お前の銃は俺が持ってる。さっきすり替えたんだよ。お前と俺の銃を」
「なんだとっ!?おい逃げるぞ!セイコ!」
2人は逃げ始めるが、次第に異変に気づき始める。
「なんだこの一本道は!?こんなに長かったか?」
「なぜだか知りたいか?」
「お前、なんか仕掛けたのか?お前なんか、お前なんか殴り合いなら俺の方が強いのに!ザコ!ザコ!!!!」
「ああ、俺はザコだった。だが移植してから強くなった。どうせ死ぬから教えてやる。俺の能力は「ループ」。A地点からB地点に行くモノがB地点へ向かうとA地点へ戻る、あのループだ。」
「どういう事だ!!!!意味が分からない!!!!!!それがすり替えと関係しているのか!?」
「俺はお前の無音銃を入れているポケットと俺の手のひらを「ループ」させた。そしてポケットの中の無音銃は俺の手のひらにループし俺が奪う。そして逆に弾なしの無音銃をお前のポケットにループし入れ替える。」
「そもそも、タダでNo.シリーズを見せる訳がないだろう」
「さようなら」
ワイはループしても尚走り続ける2人に銃を向けた。
次の瞬間、一本道に血が飛び散り、ワイは気だるそうに「今日で20人目だ」と静かに言った。
ーーー
「だから、エネルギー切れで、充電切れで撃てなかったって言ってんの」
ユウは半ば腹を立てるように言う。
「でもねえ、エネルギーは何時でも偽装できるんですよ。それだけじゃ、ねえ?」
「じゃあ、他に何て言えば良いのよ!!」
「それを聞かれても、ねえ?」
「さっきから、ねーねーねーねー煩いわね。これ以上何て言えば良いのよ。防犯カメラだって、No.ゼロが来て壊されたし、エイは消えるし……もう意味わからないんだけど!」
「No.……何て言った?」
警官がユウをじっと見つめる。
「No.ゼロよ。何?文句あるの?」
「いや、No.シリーズについては我々も操作している所だ。多くの宇宙人は自らNo.を名乗らない。No.スレイヤーに殺されるからね。」
「ナンバー……、何それ?」
「いや、知らないなら良いんだ。」
その時、午後5時を回っていた。




