闘え! ロイヤルガーディアン
「くらえ! ガトリングパンチ!」
カウンターで入った連続パンチが対戦ロボットにたたらを踏ませる。
ここでメガトンキックのコンボと行きたいが……
「王女サマ、出力が下がってます」
『申し訳ございません』
代わりのヤクザキックを繰り出そうとしたら、
【降参】
の文字がメインスクリーンに浮かび上がった。
確か鉱山の採掘割合をめぐる決闘だったから、相手も無理はしたくないってところか。
オレは頭部にあるコクピットからシートごと魔導エレベーターで胸部にある貴賓室に降りた。
貴賓室。
そう、このロボットことロイヤルガーディアンには貴賓室があって王族の方々が御臨席賜っているのだ。
「今日も快勝であるな。サモンジ殿」
「いえ、これも強大な魔力で支えてくださった王サマのおかげです」
立ち上がり、一礼。
「そちは誠に謙虚よな」
王サマは右腕担当。
「そうよ。今日も危なげなく勝利して」
「対戦相手の最初の一撃。あれを防ぎきった王妃サマの魔力のおかげです」
「ほんとに、もう……」
王妃サマは左腕担当。
「今回は私の出番がなかったな」
「予想以上に対戦相手が懦弱でありましたから」
王子サマは右脚担当。
「ナオト、ごめんなさい」
「気にすることはありません。まだこれからではないですか」
王女サマは左脚担当だ。
ガコン。と音を立てて貴賓室のメインスクリーンが開く。
夕刻の外気が爽やかだ。
ロイヤルガーディアンの胸元から延びる魔導エスカレーターに乗って地上に降りると、一足先に降り立ってた対戦相手が握手を求めてきた。
「左文字直人君だったね。ナイスファイトだ。完敗だよ」
一条巧さんだったか。
パイロットをやってるってことは、この人も日本でアーケードゲームのコンストファイターのプレイヤーだったんだろう。
「初手の攻撃をいなせなければ勝敗は判らなかったですよ」
握手に応じながら、そう返す。
「アレを防がれたから完敗なんだよ」
それじゃ、またいずれ。っと踵を返した彼に目礼して、身長50メートルのロイヤルガーディアンを振り仰ぐ。
オレのバトルは始まったばかりだ!