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君を愛することはないと言ったはずなのに情けを乞うはめになっている男の話

作者: ぐり缶

性的な表現がたんまり含まれるので苦手な方は避けてください


「悪いが、俺が今後君を愛することはないと覚えていてくれ」


整った顔の男が、ベッドに座る女を見下ろしながらそう言った。銀にも見えるブロンド髪と、スッと切長のアイスブルーの瞳が酷く冷たく見える。


よくある話だ。

嫁いできた女が、嫁ぎ先の夫から愛することはないと告げられる。

白い結婚なんて大きな声では言えないが、政略結婚の多い貴族の中ではまあよく話ではあるのだ。


だからこそ男は油断していた。自分の妻になった女が泣くにしろ呆然とするにしろ、結果的にどうにかなると思っていたのだ。

それが間違いではあるとも知らずに。


「……わかりました」

ややあって、俯いていた女が声を出した。

「そうか。俺も別に君を虐げるつもりはない。不自由もさせないと誓おう」

「……ありがとうございます、旦那様。もし、よろしければ今ひとつ、お願い申し上げてもいいでしょうか?」

「いいだろう」

男は頷いた。どうやら物分かりのいい妻であるらしいし、これからの暮らしを考えれば願いのひとつふたつやすいものだ。

「今晩だけでいいのです。私の好きにさせていただけないでしょうか」

「………いいだろう」


女の申し出に男は面食らったが、少し考えて頷くことにした。自分の妻となったこの女はこれから先、女としての悦びを感じることもなくなってしまうのだ。

愛がなくともすることはできる。我慢を強いる自分が一晩の辛抱もしなければ、妻も納得しないであろう。


「ありがとうございます、旦那様。今晩限りだとお約束しますので」

「ああ」

「では旦那様、ベッドに横になり目を閉じてください。身体から力を抜いて、ゆっくり息を吐いて、リラックスして……」


女の囁くような声に男は素直に従った。言われるがままに横になれば、身体から力が抜けていくようななんとも言えない心地になる。思考がとろりと曖昧になる。このまま何もなければさぞ気持ちいい睡眠が取れるだろうとぼんやり思ったところで、がちゃりという不穏な音に目を見開いた。


「あら、まだ目を閉じていてくださいな」

「い、いや……まて、待て待て…なんだこれは」

「なんだ……と言われましても」


男は、自分の四肢に拘束具のようなものが嵌められているのを見て、それから女がベッドサイドにいそいそとあれやこれやらと道具を並べている様に視線を移した。

女の手に握られているのばとろりとした液体の入った小瓶や細長い棒、もはや使い道もわからない形状の道具達だ。


「や、やめろ……俺に何をするつもりだ。その道具は、拷問器具か……?」

「拷問器具だなんて、ふふふ、面白いことおっしゃるのね、旦那様。これはただの玩具ですよ。今から旦那様をきもちよーくする、可愛い玩具です」

女の細い指が伸びてきて、男の顎を擽る。

「旦那様、私を愛さなくていいですよ。私も旦那様を愛すことはないんですから。

旦那様がこれからしなくちゃいけないことは、私に情けを乞うことです」




「ま、まってくれ、も、……っく、もう無理だ……!!!しぬっ、あっ、しんでしまう………!」

「ダメですよ、旦那様。今晩は私の好きなようにしていいと約束したでしょう?」

「ゆ、ゆるじてくれ……本当に、あ"……っ、だめだ、そこはダメだ!!抜いてくれ…!あ"っ、あ、あ、……お"……っ」

「旦那様ったら、そんなに情けない声をあげて…。そんなに気に入りましたか?ここですか?ふふ、びくびく震えて、気持ちよさそうですね。こんなに蕩けてしまって…」

「お、ぐ……っ!もう、ごわれる……こ、われる…!頭が、おかしぐなる…っ、頼む、たのむから……も、もう、あっ、あ、あ、ダメだ!うっぐ……!お"っ、お、あ…っ!あ"…っっ!!!」




いつのまにか意識を飛ばしていた男は、自分の下半身に違和感を感じて目を覚ました。隣にはすでに女はおらず、全裸の自分が毛布に包まっている。そのまま違和感の正体を探るべく毛布の中を覗いた男は、そこに鎮座している頑丈そうな貞操帯を目にして悲鳴を上げた。


最低限の衣服を纏い女を呼びつけると、すでに清潔で美しく身を整えた女が澄まし顔で訪れた。

妻にに我慢を強いるのに夫だけ遊べるのは不公平だと言ってのける女に抗議する男の声は、昨日喉を酷使しすぎたせいでガラガラに掠れており、女はそれを見てお上品に微笑むのだった。


これから先のことを考えて、男は頭を抱える。それと同時に、女がくすくすと笑うたびに昨晩のことを思い出して全身の皮膚が熱くなり疼くような感覚に襲われる。

不安すぎる幸先に、男は呻き声をあげるのだった。


後にあの一晩のことが忘れられないまま禁欲生活を強いられた夫は妻に情けを縋るはめになったり、性癖が歪みに歪んでしまったり、びしょびしょのシーツが使用人たちの中で噂になってしまったり、お互いの感情に変化が出たりするがそれはまた別の話である。





簡単な裏設定


実は異世界転生者であるが知識チートできるほど明確ではないので誰にも言っていない。前世の職業は女王様。プライドの高そうな男の心をへし折るのが好き。夫のことは全然好きじゃなかったが、情けない声が可愛いので愛玩動物的に愛でている。


色々な事情があって結婚するが、とんでもない妻にとんでもない目に遭わされて性癖がぶっ壊れた。結婚直後から様子がおかしかいので同僚に心配されているが、内容が内容なので相談できないでいる。最近嫌だと思わなくなってきている自分にひいている。



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