1話―5
やっぱり書くのが難しいです。どうすれば上手くなれるんだろう・・・・
眼が覚めた蘇芳は周囲の様子を見渡した。
そしてそこが病院であることに気づくと、まだぼんやりとする頭を振りながら
体を起こそうとしたが、そこで腹部に激痛が走ることに気がついた。
その激痛により意識が鮮明なると同時に姉のことを思い出した蘇芳は、
痛む腹部を押さえつつ同じ病院に運ばれているはずの姉を探すために
ベッドを降りようとした。そのとき扉が開き医者らしき白衣を着た人物が部屋に入ってきた。
「おお!意識が戻りましたか!」
「先生!姉は・・・僕と一緒に運ばれてきたはずの姉さんは大丈夫なんですか!」
「水城柚華さんの・・・・ご家族の方ですか?」
「はい弟です!」
「そうですか・・・お姉さんの事なのですが、病院に到着するまでに血を
流しすぎていました。可能な限りの手は尽くしました・・・しかし誠に残念ですが・・・・・」
そういうと、医者は一礼し去っていった・・・しかし蘇芳は未だに
姉の死が信じられず医者が去っていったことにも気づかなかった。
だが霊安室に通され冷たくなった姉の体に触れた時、
気力を全て失ったように床に崩れ落ちた。
それから約1週間、彼は無気力に過していた。
その後退院したが学校にも行かず、部屋からも出ない、そんな生活を続けていた。
しかしそんな生活も長くは続かなかった。
柚華の葬儀をし、遺産・・・という段階になると、また聞いたこともないような
親戚が沸いてきたのだ。彼らの目的は柚華が自らにかけていた生命保険の金だった。
もちろんそれの受取人は蘇芳になっていた。彼にとって姉との暮らしは、
裕福ではなかったがとても充実したものであった。それゆえ両親から受け継いだ
遺産にも手をつけていなかった。そして、彼の財産はそういった親戚たちの
格好のエサとなったのだった。しかしそういう大人達に嫌気がさした蘇芳は、
全ての親戚からの申し出を断り、自ら施設に入ることにした。
彼はその施設に多大な寄付をし、完全な個室を用意してもらった・・・
全ての生活をその場のみで行えるような部屋を。
それから1年たち、彼は高校2年生なっていた。
姉の死から彼の性格はかなり変わった。昔は穏やかで少し消極的で、
そしていつも笑顔だったが、1週間ほど学校を休み、それから出てきた時には
すでに変わっていた。激しく積極的になった。それでも笑顔は変わらなかったが、
それはどこか影を帯びた笑顔であった。一番変わったのは、武道を始めたことだった。
柔道・剣道・空手etcetc・・・
それはどこか自分を痛めつけているように見えていたという。
持ち前の運動神経も手伝い、程なく上達してきた彼だったが・・・
決して満たされることはなかった。
『まだ足りない、もっと強くならないと』
と貪欲に強さを追い求めていた。だが持ち前の人当たりのよさは失っておらず、
昔より社交的になり、誰とでもにこやかに話すようになっていた。
しかしそれは『誰も自分の中には踏み込ませない』と言う心の現われだった。
それから1年たち、3年生になった彼はいつものように本屋に立ち寄った。
そこであの少女に出会い、白い布・・・【簡易召喚陣布】を受け取ったのだった。
その布を受け取った日に自室に戻ると、パソコンにメールが来ていた。
それは「新しいゲームのモニターになって欲しい。このメールは全世界の人間に
ランダムに送信している」と言うものだった。
そして彼は、そのゲームに参加することにした。
それが世界の命運を分ける「神のゲーム」だと言うことも知らずに。
蘇芳はモニターに登録することにし、届いたメールに返信すると、
一旦パソコンの電源を切った。それは食事をしようと思ってのことだった。
自室のキッチンに向かい、手早く食事を用意していると、
パソコンにメールが届いた音がした。電源が入っていると、
メールが届いたときに音がして知らせてくれるように設定していたためだった。
蘇芳は
(パソコンの電源って切らなかったかな?)
と少し疑問に思いながらコンロの火を消し、用意したばかりの食事を持って
パソコンのところに戻った。新しいメールにはあるホームページのURLが
書いてあるだけだった。軽い食事を取りながらそのURLにアクセスしてみると
【終末のゲーム】
というタイトルのゲームだと言うことが分かった。
そのサイトを見てみるといくつかの質問があり、それに答えることで
自分が扱える魔力が増えると言うことが書いてあった。
それらの質問に全て答え送信を押すと、最後にこういう質問が現れた。
それは【力が欲しいか?】と言うものだった。
蘇芳はその質問に対し、迷うことなく欲しいと入力した。
すると、サイトの一番上に
【あなたの現在魔力は30です】
という表示と、
【力が欲しい者は魂を捧げよ】
という一文が現れた。蘇芳が困惑していると、
【下の空欄に1週間以内に殺したい相手の名前かイメージを書き込め・魂が汝の力となる】
という文が新たに表示された。
蘇芳は迷うことなくその空欄に「犯罪者」と言う文字を書き込んだ。
すると
【そのイメージはすでに使われている物です。得られる魔力は少量になります】
という文字が現れた。そこで
「世界中で殺意を持って人を殺したことがあるもの・それらを指示したもの・
テロリスト・それに直接的なかかわりがあるもの・それらを支援しているもの」
と書き込んだ。すると、
【該当する人数はおよそ20億人です・あなたの現在魔力は200万です・
契約できる相手のランクはSです】
という文が現れた。蘇芳は
「どうせ冗談だろ、それにゲームのモニターと言う話みたいだし・・・問題ないだろ」
と思いそのままENTERキーを押した。しばらく見ていると
【汝が契約できるのは・・・】
という表示が現れ多数の天使や悪魔の名前が表示された。
その表示を見ていると見覚えのある名前があった。
それは前に読んだ小説に書いてあったものなのか記憶が定かではなかったが無性に
興味がわいていた。そこで蘇芳は「アスモデウス」を選択した。すると
【もう1名選べます】
という文が現れた。すでにアスモデウスをも選択していた蘇芳は
「魔王を選んだ後に天使っていうのも面白いかもしれないな・・・」
と1人つぶやき今度は「ガブリエル」選択した。送信を押ししばらくすると
【魔法のタイプはどういうものがいいか】
という質問が現れたので、カードで魔法を使えたら楽しいかもしれない・・・
と思いながら「カードに魔法を込めてカードを使って戦う」と書き込み送信を押した。
しばらくすると
【登録ありがとうございました引き続きサポートのものより説明を受けてください。
それでは死なないように頑張ってください】
という一文が表示され、自動的にパソコンの電源が落ちた。
蘇芳は気付いていなかったが、パソコンのコンセントは繋がっていなかった・・・・
世界人口を70億と換算しての20億という数になっています。
多すぎるかなーとも思いましたが、世界の約3分の1が突然死したら
世界の常識やあり方も変わるだろう・・・・ということでやってしまいました。