魔法のメガネ
お家に置いてるフライパン
おっきいお鍋におっきいお皿
いつも何を考えてるの?
いつも料理でアツアツになって
嫌になったりしてないのかな
あったか料理を作ってくれて
僕はとっても嬉しいのだけど
こんなに毎日アツアツになって
嫌だなって考えてたら
どうしてあげたらいいのかな
あったか料理を我慢したらいい?
そのまま食べれるお野菜ばかり
食べていたら困らない?
お家に置いてる冷蔵庫
ラップ保存のお皿にお鍋
いつも何を考えてるの?
傷まないようにひんやりヒヤヒヤ
嫌になったりしてないのかな
明日も美味しく食べられるから
僕はとっても嬉しいのだけど
しばらくの間ヒヤヒヤになって
嫌だなって考えていたら
どうしてあげたらいいのかな
お料理食べきるのはいいけれど
毎日作るお母さんが大変
レンジでチンする料理ならいい?
笑って聞いてたおじいちゃん
よしよしそれなら聞いてみよう
おじいちゃんはそう言って
取り出してきた黒縁メガネ
何かもにょもにょ呪文を唱えて
しわしわお手てで耳にかける
ふむふむなるほど
そうかそうか
独り言のように呟いて
アツアツなのも
ヒヤヒヤなのも
大丈夫なよう作られとるから
辛くはないよ
平気だよ
大切にしてくれてありがとう
そう言うとるから
大丈夫じゃよ
メガネを外したおじいちゃん
しわくちゃな顔を
くしゃくしゃにして
笑いながら教えてくれた
お話を聞いて驚いた
おじいちゃんはお話できるの?
フライパンやお鍋やコップと
細い目をしたおじいちゃん
線に見えるほどに目を細めると
黒縁メガネとこのわしは
実は魔法使いじゃからな
そうやって笑ったあとに咳き込むと
大事そうにメガネをしまった
僕がかけたら声は聞けるの?
おじいちゃんにそう聞くと
聞こうと思えば聞けるかもなぁ
いつものように誤魔化されるだけだった