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乙女ゲームの世界だと思うのですが 攻略対象者1

 この世界はおかしなズレがある様な気もするが、私が前世で微課金していたアプリゲームーープリンス・キス〜真心を君に〜と言う名だった。略してプリキスーーの世界ではないかと思うのだ。


 私を池に突き落とした王太子と、私の元婚約者のグラムハルト・フォン・ルーク・ベネディはそのゲームの攻略対象だったからだ。そして、もう1人、ルアード・テンペス・イースター・リオネルという名の攻略対象者をわたしは知っている。


 ヒロインは王太子の幼馴染ーー乳母の娘、伯爵令嬢のサラだ。この国の貴族は下位に行けば行くほど名前が長くなるので、彼女のフルネームは覚えていない。

 だが、たしかにサラは、存在している。殿下のひとつ下だったので、今は私と同じく15歳のはずだ。ゲームの開始時のサラは16歳だ。

 しかし、学校に通うことなく、物語は王宮で繰り広げられたため、開始時期は曖昧である。しかも、誕生日は自分で決められたので、シナリオ通りなら1年足らずでゲームが始まるのではないだろうか。

 わたしも王太子の幼馴染だったので、彼女を王宮で何度か見かけたことがある。ただし、わたしが王宮に通っていた時、うまく接触できなかったので、お友達ではなかったが。

 茶色の髪、茶色の瞳の平凡な容姿の持ち主ーーと、登場人物紹介にあるが、しっかり美少女である。よくある守ってやりたい系の清楚な容貌をしているーーだが、心映えがよく、そして貴族令嬢にあるまじき純真さ、破天荒な明るさを持っており、どのルートでも、王太子は密かに彼女を想っている。幼い頃にした結婚の約束を彼は大事にしており、絶対にサラと結婚すると決めているらしい。



 王太子のジェイド・クライオスは金髪碧眼のまさに王子、と言った美形で、年齢は私のひとつ上の16歳。そして、3日前にわたしを池に突き落とした後、恍惚とした笑みを浮かべた異常者である。彼と交流があったのは8歳の頃までなので、彼がどうしてあの様な常軌を逸した行動をとったか、わからないが、間違いなく言えることは心底関わりたく無い、ということだ。


 プリキスでは、メインヒーローを張っており、容姿端麗、頭脳明晰、しかも魔力も歴代1位2位を争うほど高く、剣術も嗜んでいる、というパーフェクト王子に見せかけている。

 なぜ、見せかけかと言うと、前述した様にヒロインのサラに初恋を拗らせているからである。国法で、王妃は侯爵令嬢以上と定められているため、余計に拗らせるのだ。ロミオとジュリエットの時代からそうだが、禁止されると恋とは燃え上がるもので、ジェイドとサラは周りを巻き込む大恋愛に夢中になり、最終的に国の法律を変えるという暴挙に出る。ヒロインとの結婚式で、彼の微笑んだスチルがあるのだが、それがなんともいえない、げっすい笑みなのだ。ちなみに私を池に突き落とした後の微笑みがそのスチルと重なってわたしは、私となったのだ。


 物語はそこでハッピーエンドだが、自分の欲に従って国の法律を変えた後、彼らが幸せになれたとは思えない。侯爵以上の家柄の娘でないと正妃になれないというのは、慣例だからではない。魔力は遺伝するものとされており、最低でも侯爵家の令嬢レベルの魔力保持者でないと次代に差し障りがあるからである。要するに、魔力の強さに隔たりがあった場合子供ができないのだ。


 この国は一夫一妻制で、王といえど例外はない。そして、サラは心ばえの良い、優しい娘だが、伯爵令嬢にすぎず、強い魔力を保持していない。そのため、サラはシナリオでは一度彼から身を引こうとするが、2人はその困難を乗り越えて、真実の愛を見つけるらしいが…物語後は、どうなったか、お察しのことだと思う。

 ワンマンで、自らの欲で王国を滅ぼしかねない、先行きの見えない暗君、それがプリキスのジェイドで、現在は、そこに異常者という属性までついてしまっている。

 ちなみに彼のルートの悪役令嬢は私の異母妹のイリア・フォン・クランである。そして、イリアに姉がいると言う記述はない。つまり、私は物語には、存在していない。

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