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2部までのネタバレ・裏設定を含む登場人物紹介(主要人物のみ)なんでも許せる方向け

エヴァンジェリン・ハルト

 旧姓:エヴァンジェリン・フォン・クラン

     エヴァンジェリン・クラン・デリア・ノースウェル・リザム

 通称:エヴァ、イヴ(ジェイド限定)、シェリー(セオ限定)


 二部までの間に名前が三回、婚約者が五回(候補一回、偽装?一回含む)も変わった、本作のヒロイン。本来は公爵令嬢だが、とある少年のやらかしと父親の策略のせいで貧乏子爵家に養女に出されている。

 転生者だが、ゲーム上では名前すら出ていないモブ。前世が喪女だったこと、自分がモブなことや、歴代婚約者に粗略に扱われていたせいもあって、絶世の美少女なのに、とにかく自己評価が低い。

 基本事なかれ主義で、子爵夫妻に迷惑をかけないために流されて生きていた。しかし、色々と痛い目に合わされ、窮鼠猫を嚙んだ。以降はセオドアの助けを借りつつ、一人で生きて行くべく、入殿する。神殿のハルトという地位を得た後はきちんと物事に向き合って生きて行こうとしているが、人間、急に変われるものではなく、弱い自分に気づく度に、自己嫌悪に陥っている。また、本来のエヴァンジェリンの性格も相まって諦観したところもある。

 入殿したのは良いが、自分が神殿の定義する悪魔にあたるのではないかと戦々恐々しつつも、神殿のどこか異様なところに若干引いている。

 元々男性嫌悪症の嫌いがあったが、とある一件のせいですっかりと男性恐怖症になってしまっている。暗いところも苦手で暗い廊下などもってのほか。自立したいとは思っているが、今の自分ではそれがままならないことも自覚している。

 転生チートのためか?地水火風と光属性を持っているが、この世界では異常なので、光属性以外は隠している。とある事件に巻き込まれ、さらに特異な存在になってもいる。

 セオドアに心を預け始めているが、ジェイドにも心を残している様子……??

 婚約者の遍歴はジェイド(候補)→ルアード→グラムハルト→ジェイド→セオドア(偽装?今ここ)



ジェイド・クライオス

 通称:殿下、ジェイド、ジェイ(エヴァンジェリン専用)

 

 ゲーム上ではメイン攻略対象者。

 初代国王であるオーガスト・クライオスに匹敵する力の持ち主と言われている。正義感が強く、なまじっか能力が高い為、自分でなんでもできると過信していたため、痛い目にあったクライオス王国の王太子。

 エヴァンジェリンは目の前の『ジェイド』ではなく、ゲームの腹黒王太子『ジェイド・クライオス』として彼を見ているため、本来の彼がよく見えていない。結果、彼の言動が理解できないエヴァンジェリンにサイコパスではないかと思われている。

 エヴァンジェリンに怯えられているとは露知らず、初恋を拗らせていて、なんとしても妻に迎えたいと思っている。外堀を埋めようとして、自分が埋まってしまった、ちょっとばかり?残念な王子。

  本人に自覚はあまりないが、懐に入れた人間には執着する傾向があり――もちろんエヴァンジェリンほどではない――心を許した人がいなくなるのを嫌う寂しがり屋な一面もある。

 サラとは乳兄妹で、気安い存在ではあるが、トラブルメーカーだとも思っている。けれど、一番近くにいつもいてくれるサラのことをそれなりに大事に思っている。

 サラとアスランとした特区を作ることと神殿の力を削ぐことを目標としている。

 現在、自分の意見を全く忖度してくれず、臣下の暗躍を意にも介さない父王に不満を持ち、愚かな母に失望し、自分の無能さに絶望した結果、悪い大人に良いように手のひらで転がされ、闇落ち中。現在はヤンデレ上等状態。

 読者様につけていただいた、作者のお気に入りのあだ名は『ミッシー君』。色々な意味で読者様から反響の多い殿下。

 


セオドア・ハルト

 通称:セオ(エヴァンジェリン専用)

 

 ゲーム上では攻略対象者。

 王宮神殿に所属する治癒術師。現在の治癒術師の中では一位二位を争うほどの凄腕。解毒が得意だが、病の治療はできない。聖職者だが、女たらしのプレイボーイとの呼び声も高く、神殿の意向を無視するようなところもある、けっこうな不良神官。

 初対面の時はなにやら思わせぶりな態度をとっていたが、いまや、エヴァンジェリンにはとにかく甘く、彼女に対し執着を見せ始めている。エヴァンジェリンにとっては孫の手もびっくりなほど、痒いところに手が届く存在――作者の周囲では『出来過ぎで面白みがない』と言われている。常に寄り添い、力を貸してくれているため、エヴァンジェリンからの信頼も厚い。

 しかし、セオドアをよく知るはずの周囲の人間たちからは『冷たい男』と評されている。

 時折覗く激情は本音かそれとも……?

 現在、エヴァンジェリンの偽装婚約者。もしかしたら、ジェイドよりも外堀を埋めるのがうまいかもしれない??



ルアード・テンペス・イースター・リオネル


 ゲーム上では攻略対象者の一人。元騎士団長子息。

 エヴァンジェリンに一目惚れをしてしまい、少しでも格好良く見せようとして失敗したお馬鹿さん。クラン公爵家に『一度だけの騎士団の出動権』を与え、エヴァンジェリンが子爵家に養女に行くきっかけを作った。そのせいでジェイドの側近候補から外されている。

 責任を取ってエヴァンジェリンの婚約者となるが、嬉しい反面、申し訳なくて何も言えないままになってしまい、結局、良好な関係を築けないまま、グラムハルトに婚約者の座を奪われてしまう。グラムハルトにエヴァンジェリンの婚約者の座を奪われた時は、悔しかったが、ホッともし、そんな自分が汚いものに思え、自己嫌悪に陥っていた。

 思慮は足りないが、本来は真っ直ぐな性根の持ち主で、面倒見が良い性格。お転婆なサラに専ら面倒をかけられていたが、進んで世話を焼いていた。

 ゲーム内では脳筋だったが、過去の失敗をバネに努力し、本来の性格も相まって、今では攻略対象者の中でも割とまともに育っている(他が酷すぎるともいう)。自分の失敗以降、一介の騎士としてコツコツと努力をし、ゲームの彼よりも、実力がある。

 エヴァンジェリンへの贖罪と過去の自分の責任を取るために、エヴァンジェリンの義両親を守るべく、現在スライナト辺境伯領へ向かっている。



グラムハルト・フォン・ルーク・ベネディ

 通称:グラム。


 ゲーム上では攻略対象者。元宰相子息。

 伶俐な印象の青年。王妃の甥で、ジェイドとは従兄弟同士。黒髪黒目という、クライオス王国では嫌厭される色彩を持ち、実母に疎まれて育つ。父親の書斎にあったエヴァンジェリンの母、サリナの絵に淡い想いを抱いていた。実際、エヴァンジェリンに会った時に、それがどういう想いなのか自覚。絵画の中の少女によく似た、それでいて自らの色彩を厭わずに微笑みかけてくれたエヴァンジェリンに恋をし、執着している。

 ルアードの真似をして、まんまとエヴァンジェリンの婚約者に収まるも、ジェイドに同じ方法で奪い返された。

 実はジェイド以上に嫉妬心が強く、ジェイド並みに執着心が強いという厄介な人物。ジェイドの横やりがなければ、結ばれなかった宰相とサリナの代わりに、エヴァンジェリンと婚約するはずだった。

 現在は父親について国を出奔しているがそう簡単に諦めるはずがないので、いずれどこかで登場するはず。



ギャレット・ハルト

 

 ゲーム上では攻略対象者???

 『ギャレット』という名前と、メンテナンス後に追加されたばかりの新しい攻略対象者と外見が一致しているが、境遇が全く違う謎の人物。

 登場したばかりだったので、前世でも攻略していない。そのため、彼が攻略対象者か否か、また、どのようなストーリーで、彼がどんな闇を抱えているかは分からない。

 ゲーム上では隣国の第一王子でクライオスに人質として滞在しているはずだが、この世界では、神殿のハルト。ハルトとしては、セオドア曰く『現在の神殿では一番の使い手』らしい。病気の治癒はできるが、解毒はできない。本来、治癒魔法は人間が対象だが、動物くらいなら治療できるくらいの凄腕。

 中性的な美貌の持ち主で、実年齢よりも5つ以上は若く見える。

 スライナト辺境伯領に派遣されていたが、現在は行方不明となっており、生存も危ぶまれている。



サラスティーナ・ルーク・サウス・クラフト


 ゲーム上ではヒロイン。

 現実では、過去、クライオス王家に滅ぼされたはずの魔族の娘。

 強い魅了の力を持つが、その力を嫌い、使わないようにしている。ジェイド、ルアード、グラムハルト、アスランとは幼馴染だが、あまりにも素行が悪いせいでエヴァンジェリンとは接触させてもらえなかった。

 身体能力がともかく凄まじく、人に気取られぬように部屋に忍び込むのはお手のもの。魔族としての力も強いらしいが、生粋のトラブルメーカー。気づくと果物や干し肉を齧っている。ジェイドたち曰く「野生の猿」。

 基本で竹を割ったような性格に見せかけているが、自己嫌悪の感情が強く、女ということで侮られたくないと思っており、同族の前では男言葉で喋っている。

 ジェイドとは仲良し、グラムハルトとは親交があるらしいが、ルアードとは疎遠になっていた。



アスラン・フォン・クラン

 アッシュ(偽名)


 ゲームには登場しない人物。

 エヴァンジェリンの兄。父親の策略で留学という名目で国外に出される。そのまま死ぬことを望まれていたが、剣で身を立て、キファク公国で男爵位を得ている。エヴァンジェリンを迎えに行こうと思っていた矢先にジェイドの迎えが来た。そのままジェイドの手を借り、クライオスに戻る。その後は父を失脚させる策を練りながら、ジェイドの護衛騎士として身を隠していた。その際の偽名はアッシュ。

 唯一残された家族であるエヴァンジェリンを大切に思っている――つまり、ものすごいシスコン。

 ジェイドのことは『弟のような憎めない主君(エヴァンジェリンに対する手の早さを除く)』と思っていたが、事件以降は『利用すべき相手』と思っている。エヴァンジェリンをジェイドに嫁がせたくなく、セオドアともなにやらひと悶着あったらしいが、今のところはジェイドよりはましか……と思っている様子。

 国外に長いこと放置された結果、たいへん口が悪い。ジェイド曰く『下町の兄ちゃん』。

 現在はクラン家の当主として動いているが、親族からの突き上げや、クラン家の零落ぶりに頭を抱えている。キファク公国にいる間に誼を結んだ相手を側近として重用している。

 林マキ先生が書いてくださったイラストがあまりにも素敵すぎたので、今後出番が増える可能性が高いキャラクター。



サリナ・フォン・クラン

 アスランとエヴァンジェリンの実母。故人。祖母によく似た面差しの美女。

 本来は宰相と結婚する予定だったが、宰相の兄の急死により、婚約解消となった。

 宰相にほのかな恋心を抱いていたが、宰相の鉄面皮のせいで、彼からも想いを寄せられていたことに気づかず、拗らせてしまった女性。エヴァンジェリンの無自覚な鈍感さはある意味、母親譲りかも?

 魔力の釣り合いが取れていたので、ファウストと結婚したが、エヴァンジェリンを産んだ後に、ファウストに愛人がいたことを知り、怒り狂った。

 残されたアスランとエヴァンジェリンの未来が心配で、後ろ盾になりそうな相手との婚姻を望み、ジェイドとエヴァンジェリンの婚約を王家に打診させた。ジェイドとエヴァンジェリンの仲がうまくいっているという話を聞き、安心してこの世を去ったが、現状を見たら嘆くかもしれない。



ファウスト・フォン・クラン

 アスラン、サトゥナー、エヴァンジェリン、イリアの父。

 クラン家の予備家であるサイテル伯爵家の出身。

 (四公爵家または十七侯爵家に王妃になる子供が生まれなかった際に、王妃を輩出する家系。また、公爵家、侯爵家と婚姻を結ぶことも多い。四公爵家に一家設けられている。高い魔力を保つ努力をしている)

 エヴァンジェリンから見たら、狡猾で計算高い人物だが、本当は小心者で、底の浅い小役人。リオネル家との契約も、国家転覆を狙えるほど危ういものだったのに、そのことに気づかないほど、大局が見えていない。(基本で人は自分の基準で他者を見るので、エヴァンジェリンは、ファウストを実際よりも、うんと有能な人物だと思っていた。リオネル家との契約の危うさに気づいたエヴァンジェリンとジェイドの思考回路はある意味、似ていると思われる)

 恋人であるリンデルと別れられず、ずるずると付き合い続けるという優柔不断な面も併せ持つ。婿養子なのにもかかわらず、愛人を後妻に迎え、更に公爵家の直系の子供を蔑ろにし続けた結果、破滅した。

 息子たちの悪行にも気づいていなかった、残念な父。いきなり転がりこんできた公爵家の当主の座に浮かれてしまい、周りが見えなかった状況判断もできない只の馬鹿。魔力だけは高かった。



サトゥナー・フォン・クラン

 アスランの異母弟でエヴァンジェリンの異母兄。

 本来は『クラン』を名乗ることができないほど、クラン家の血はほとんど入っていないにも関わらす、クラン公爵家の後継者として連れられて王城へ出入りしていた様子。

 令嬢に手を出すのはタブーとされている中で、常識破りの行動をとっていた下衆。どうやら自分の眼鏡にかなった令嬢であれば、どんな高位の令嬢にも手を出していた様子。小心者で小役人の父から生まれた子がどうしてこんな悪事に手を染めたのか……。

 昔は父に蔑ろにされていたエヴァンジェリンを馬鹿にしていたが、美しく成長したエヴァンジェリンを異母妹とは気づかず、破滅した。高慢で粗野な青年。見た目はそこそこ。

 


イリア・フォン・クラン

 ゲーム上ではジェイドルートの悪役令嬢。

 アスランとエヴァンジェリンの異母妹。サトゥナーの同母妹。

 サトゥナーと同じく、本来は『クラン』を名乗ることができないほど、クラン家の血はほとんど入っていない。

 リンデルによく似た面差しのキツめの顔立ちの美女だが、高慢で嗜虐心が強いため、婚約者はいない。また、身持ちも悪いと専らの噂で、処女ではなかった。サトゥナーと一緒に気に入らない令嬢を傷つけては笑っていた。

 


ヨアキム・クラン・デリア・ノースウェル・リザム

 エヴァンジェリンの養父。ウインクの似合うロマンスグレー。愛妻家。また、エヴァンジェリンを娘として可愛がっている。

 領地持ちの貴族だが、リザム領は北方の小さく貧しい領地で、領民のために私財をなげうっているため、貧しい生活をしている。領地に支援するために、王宮の財務部に勤めているが、有能と専らの噂。

 リエーヌとは恋愛結婚だが、結婚式の時に従兄弟が失言したため、リザム家ともスライナト辺境伯家とも疎遠になっていた。基本で穏やかだが、怒ると怖いタイプ。



リエーヌ・クラン・デリア・ノースウェル・リザム

 エヴァンジェリンの養母。線の細い佳人。スライナト辺境伯家の娘で末っ子。

 病弱なことと、クライドの初恋の人によく似ていることもあり、兄妹の中で一番かわいがられている(母親のアズリアよりも、母の従姉のエティエンヌに似ている)。

 基本で優しい女性だが、辺境伯の娘だけあって気が強い一面もある。エヴァのことを可愛がっており、エヴァンジェリンが馬鹿にされた時は扇を折るほどの力を見せていた。

 姉たちは熊を倒せるらしいが、身体の弱かったリエーヌはその教育を受けていない。貴族の女性には珍しく、有事の際のために家事一般は叩き込まれているらしい。



エリス

 リザム子爵家が用意したエヴァンジェリンの侍女。

 騎士爵の娘で、残念ながら王宮への立ち入りを許可されていない。

 真面目そうで落ち着いた雰囲気の女性だが、セオドアの前ではちょっと違うよう。



バーバラ・ハルト

 セオドアルートの悪役(障害)。

 神殿の治癒術師。王宮神殿に所属している。元男爵令嬢。

 美容魔術が得意で、しみ抜きやしわ取りが特に得意だが、ハルトの中では力が強い方ではない。

 大輪の薔薇のような艶やかな美女。年の離れた友達の弟子であるセオドアを弟のように思って可愛がっている。なので、セオドアの信奉者たちにはやや甘いところがある。

 一部終了時点で妊娠中。誕生祭が終わり次第、大神殿へ行く予定。現在は大勢の護衛に守られている。リエーヌとは意気投合し、文通友達となっている。



リーバイ

 旧姓:リーバイ・クラン・グレア・ミンス・ウェスタ―・トール

(神殿に入殿時点でリーバイという名前のみになっている)

 王宮神殿に所属している二位の魔導師。元男爵家の三男で、人が良さそうな雰囲気の青年。顔は十人並み。セオドアの悪友で、情報通でもある。



リオネル騎士団長

 ルアードの父親。戦上手だが、領地経営や、貴族同士の駆け引きは苦手。

 巌のような大男だが、外見に反し、人が良く、部下には慕われている。

 息子が女の子を傷つけたことに心を痛め過ぎた結果、とんでもない契約をしてしまった。

 今回、エヴァンジェリンが襲われた事件で、またもや、ジェイドの婚約者を傷つけたことや、騎士団の統括ができなかったことの責任を取って騎士団長を辞任し、爵位も返上した。



ダイア・フォン・テンペス・レイチェル

 規則や道徳にとにかくうるさい老婦人だが、王妃教育に関わるほどの知識者でもある。

 型破りなサラを嫌っており、エヴァンジェリンに王妃になってほしいと思っていた。

 ただでさえ、地声が大きいのに、激昂すると更に声が大きくなる、よくいるタイプの女性。

 二時間も人を叱り続けるスタミナを持つ恐るべき老女。

 実はセオドアのファンでもあるので、セオドアにキスをしたサラを余計に嫌っている。



イギー・クライオス

 クライオス王国の国王。ジェイドの父。

 特にこれと言った特徴のない凡庸な王。ハルペーとは恒常的に小競り合いをしているせいか、少々平和ボケをしているきらいがある。自分の運命の相手のイザベラを溺愛しており、彼女の気を引く為ならどんな無理難題でも叶える一面がある。

 対外的の母はルーク公爵家のリーゼだが、本当の母は、ドーレ辺境伯の妻のアンジュ。父である、先王ディードリッヒはアンジュ以外の人間はどうでもよく、むしろ、アンジュの手を焼くイギーを嫌っていた。リーゼに預けられて育つが、ディードリッヒには疎まれ、リーゼには憎まれて育ったため、どこか歪なところがある。

 自分の運命の相手であるイザベラとの子供であるジェイドのことを可愛いとは思っているが、複雑なものも抱えている様子。先王よりも功績を上げたいと思っている。



イザベラ・クライオス

 クライオス王国王妃。ジェイドの母。

 クラン家のことをとにかく嫌っており、エヴァンジェリンとジェイドとの婚約を反対していた。

 兄である宰相とは若干距離がある。

 容姿は並程度だが、若さを保つために高額な費用を払って毎月バーバラの美容施術を受けていた。その施術を受けるために、密輸や横領をしている。

 王妃としては落第で、自分の叔母でもある王太后のリーゼには見限られており、エヴァンジェリンの王妃教育も一人ではさせてもらえていない。スライナト辺境伯と神殿のハルトに喧嘩を売ったことにより、苦境に立たされている。

 


ディードリッヒ・クライオス

 故人。先代クライオス国王。ジェイドの祖父。

 ハルペーとエルダードと二面戦争をしており、この戦争の際に父が亡くなり、12才で王位に就いた。王位に就いた後も、多忙で色恋に時間を割く暇がなかった。

 運命の伴侶を信じておらず、ルーク家のリーゼと婚約をしていたが、エルダードとの終戦後に、戦争の立役者である、ドーレ辺境伯夫妻に会い、自分の運命の伴侶に会ってしまった。

 そのまま、ドーレ辺境伯夫人であるアンジュを攫い、王の『鳥籠』に入れてしまう。リーゼとは婚約を解消しようとするも、アンジュを差し出す代わりに対外的な王妃の座を約束させられた。

 結局、リーゼには指一本触れないまま、死去した。イギーのことは全く愛しておらず、生涯、アンジュだけを愛した。



アンジュ・ルーク・ドーレ

 旧姓:アンジュ・ルーク・ノスト・エンガレ

 故人。イギーの実母。ジェイドの祖母。

 水色に近い青い瞳を持つ、薄幸の女性。

 本来はルーク家の予備であるエンガレ伯爵家出身。

(四公爵家または十七侯爵家に王妃になる子供が生まれなかった際に、王妃を輩出する家系。四公爵家に一家設けられている。高い魔力を保つ努力をしている)

 ドーレ辺境伯家に嫁いでいたが、ディードリッヒに見初められ、生涯監禁された不遇の女性。



リーゼ・クライオス

 旧姓:リーゼ・フォン・クラン

 王太后。対外的には先王ディードリッヒの妃。ルーク家の次女。ルーク家のために人生を棒に振った女性。

 ディードリッヒの婚約者として問題なく育つが、ディードリッヒがアンジュを見つけた後は粗略に扱われるようになった。最終的にはディードリッヒには見向きもされず、ルーク家と王家の契約でディードリッヒのお飾りの妃として嫁ぐ。

 ディードリッヒの蛮行を見て、愛というものを怖がっている。

 能力は高く、理想の貴婦人と呼ばれていた、アンジュとは正反対の意味で薄幸の女性。

 現在は南の離宮で隠居中。



ベンジー・クラン・ノーズ・デリア

 リザム子爵家の本家筋にあたる伯爵家の当主。

 ファウストと懇意にしていた、歪な伯爵。自分の身分を鼻にかけている顕示欲の塊。

 ギャンブル狂いで、家計は火の車らしく、負け分は妻を差し出すことで凌いでいる。

 女癖も悪く、屋敷のメイドに片端から手を付けている。美しい女が好きでリエーヌに目をつけている。



クライド・テンペス・スライナト

 リエーヌの父親。南の雄、王国の盾と呼ばれる人物。

 クラン家の『影の長』に師事していた。 ※自分の師の正体は知らない。

 彼の教えで才能を開花させたが、長に利用されたことを亡き初恋の人の日記で知り、師を殺したいほど憎んでいる。しかし、国一番の英雄と呼ばれている今でも、師に敵う気はしないらしい。

 妻を愛してはいるが、師の謀略のせいで亡くした初恋の人のエティエンヌを忘れられないでいる。妻であるアズリアはエティエンヌの従妹だが、何故かアズリアよりもエティエンヌに似たリエーヌを溺愛している。

 魔力の多寡をある程度、計ることができ、ジェイドの異常な魔力も理解している。

 師に教わった人間特有の危うさをジェイドから感じ、ジェイドを抑えるためにエヴァンジェリンを差し出す約束をしている。



クラン家の影の長(正式名称・年齢不明)

 ヨハネス・ルーク・ヴァイス・サウスウェル・フィールド(偽名)

 元々はテンペス家の影の一族。歴史の編纂に関わっていたため、この国の歴史に詳しい。

 遠いところから来た曾祖母に育てられており、曾祖母を守ろうとしなかったテンペス家を恨んでいる。

 テンペス家と違い、曾祖母を守ろうとした自分たちを受け入れてくれた五代前のクラン家の当主に恩義を感じており、忠誠を誓っている。また、曾祖母である愛子さんが信仰していた『クラリスちゃん』に傾倒しており、教えを詳しく知りたいと思っている。

 そのために色々暗躍しており、孫たちからは「いつもは穏やかだが、どこか歪なところがある」「親類じゃなかったら付き合いたくない」「地獄のような爺」と散々な評価を受けている。

 基本で能力が高く、また少々変わった育ちのため、あらゆる面で他者と違い、この世界のルールに囚われない所があり、外道にも通じている。洗脳も得意の様子。

 変装をし、家庭教師としてあちらこちらへ出入りをしていたが、生き残っている教え子は国王のイギー、スライナト辺境伯、ダフナ家の当主の三人+ジェイド(New)のみ。



モンキー

 クラン家の影の一族。長の孫息子。

 暗殺スキルと潜入スキルが高い優秀な影。その優秀さゆえ、猿の面を貰っている。



フォックス

 エンデ(ジェイド専用、偽名)

 クラン家の影の一族。長の孫息子。モンキーの弟。皮肉屋な面が目立つ。

 戦闘能力が高く、王国の記録も覚えている、優秀な影。その優秀さのため、狐の面を貰っている。情報分析能力もほかの人間より、頭一つ抜けている。優秀な影ではあるが、美的感覚がちょっとおかしいという欠点もある。

 アスランの幼馴染で、アスランに忠誠を誓っている。ともかく、アスランが大事で、彼が幸せになることを望んでいる。フォックスの尺度では大した苦労もせず育った、エヴァンジェリンが神殿へ逃げたことを恨んでいる。クラン家を盛り立てるために、エヴァンジェリンを連れ戻し、ジェイドへ嫁がせるべきだと主張していたので、現在ジェイドに預けられている。

 ジェイドの下にいる間は、長によって、公爵家の内情を探ること、エヴァンジェリンに関わることを禁じられている。

 とある失言をしたせいで、ジェイドに命を狙われているが、気づいていない。

 

 

エルザ

 豪炎のエルザ。

 神殿の二位だが、いつもは大神殿の近くで宿屋を経営している。

 強い火の魔力を持っており『豪炎のエルザ』という二つ名を持っている。

 感覚で魔法を使う人間で、セオドア曰く「火力馬鹿」。

 息を吸うように魔法を操る、現在の魔術師の中では最高峰の人間。百人単位を巻き込める、広範囲で高火力の魔法を使う。クライドをして、「今まで見てきた人間の中でも彼女ほど強い魔導師を見たことがない」と言わしめるほどの実力の持ち主。

 セオドアの師匠とは友人でその縁でセオドアと知り合う。セオドアのことは息子のようにも、弟のようにも思っている。



イアン

 セオドアが営む孤児院出身の神殿騎士。ハルペーの出身。セオドアに忠誠を誓っている。

 妹がおり、兄妹揃ってセオドアに助けられた経歴があり、自分と妹の二人分の命をセオドアに返そうと思っている。

 自分の倫理観と異なるバーバラをふしだらと倦厭していたが、今は少しだけ見直している。

現時点ではバーバラの護衛をしている。魔法は使えないが、剣技は人並み以上。


 

メラニー・ルーク・サウス・クラフト

 サラの母。

 王宮では大人しやかで淑女の鑑。一族の前では婀娜っぽい。危険だけれど人を引き付けるリコリスのような毒々しく、妖艶な美女。

 魔族としての力は強くないが、魔族の中では一番高い爵位を持っている。

 イザベラに取り入り、ジェイドの乳母の地位を得る。

 魔族として上手に立ち回っているが、魔族に反発しているサラを助けたりと、何を考えているか分からない一面もある。

 ジェイドと同じ年の男の子(サラの兄にあたる)がいたが、赤子のころに死亡している。


オーリャ

 孤児院出身の女性。ハルペーの民。幼少時に住んでいた村を焼かれてクライオスに連れてこられ、娼館に売られた経歴を持つ。そのせいで身体を壊し、捨てられた際にセオドアに助けられた。

 本来なら18歳になったら孤児院を卒業しなければならないが、セオドアに泣きついて孤児院に残っている。

 セオドアと一番長くいた女性であり、自分が特別可愛がられていることをよくわかっている。そのため、自分と孤児院の他の子たちは違うと思っており、無意識にほかの子供を見下している。

 セオドアに恋着しており、セオドアが連れてきたエヴァンジェリンに敵意を抱く。自分のことを汚れていると思っており、無垢な様子を見せるエヴァンジェリンを憎悪もしている。



パティー

 孤児院の子供。クライオスとハルペーのハーフ。

 クライオスの兵士に母が強姦されてできた子供だが、クライオスの人間よりも、ハルペーの人間を憎んでいる。オーリャや他のハルペーの民を嫌っている。

 最初はお姫様然としたエヴァンジェリンに憧れに似た感情を抱いていたが、次第に真摯に向かい合ってくれるエヴァンジェリンを慕うようになる。



ヴァル

 孤児院の子供。15才だが、身体が小さく、12才ほどに見える。

 秀麗な顔の少年だが、右半分は焼けただれていた。本当はクライオスの伯爵家の子供だが、母亡き後に気味が悪いと捨てられた。一度セオドアが治療に乗り出したが、闇属性持ちで、彼の魔力が光属性と反発する為、治療ができなかった。

 神殿で一位二位を争うほどの使い手であるセオドアが無理なら、この傷は治らないと諦めていた。醜い傷跡のせいで、引っ込み思案で、消極的な性格になっていたが、エヴァンジェリンに治癒してもらい、その際に一緒に泣いてくれたエヴァンジェリンに傾倒している。

 今まで抱きしめられたことがほとんどなく、エヴァンジェリンに抱きしめられたことが気持ちよく、引き離したセオドアに向かって舌打ちをするという、一面もある。

 エヴァンジェリンとオーリャの違いに気づいたので、最後に恩返しをするためにオーリャに助言したがオーリャに通じず、それどころかエヴァンジェリンを更に恨むきっかけを作ってしまった。



ラリーサ

 孤児院の子供。ハルペーの民。

 オーリャ派の下っ端の少女。木材の下敷きになって危うく命を落とすところだったが、エヴァンジェリンに救われた。



ベネディ宰相

 グラムハルトの父。さすがグラムハルトの父というような、怜悧な印象を持つ。

 野心もなく、淡々と業務をこなす、有能な宰相。

 エヴァンジェリンの母、サリナとは昔は婚約関係にあったが、嫡子である兄が早逝したため、クラン公爵家に婿入りできなくなり、婚約が白紙になった過去がある。

 実はサリナにともかく惚れていて、彼女と結婚ができなかったことが心のしこりになっている。妻のことはなんとも思っておらず、グラムハルトが生まれた後は殆ど顔も合わせていない。

 書斎にはサリナの絵を一面に飾るほど、今なお、心を残している。王妃である、妹のイザベラとは仲がよろしくないようで、交流はほとんどない。

 サリナとの婚約が白紙になった後、自分の息子とサリナの娘の婚約を王家に取り付けていたのに、その約束を破った王家に対しては不満を抱えていた。

 自分の妹のイザベラの言動が常軌を逸していることに気づき、宰相職を辞し、国を出奔中。


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