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王太子は影と話す 3

「落ち着いてくれ、このまま威圧を続ければ、僕の護衛が入ってくるよ」


 僕が声をかけても、エンデはしばらく威圧をかけていたが、段々と抑え始めた。エンデの弱点がわかった今、先程までの不快な気持ちは少なくなって来ている。どうやってエンデを操れば良いか分かってきたからだ。

 けれども、さて、エンデは僕にこう思わせるためにここまで感情を発露させたのだろうか?それならば、この行為は正解だ。面を預けるよりも、より僕に安心を与えてくれたのだから。まぁ、面の重要さを僕が知らないだけかもしれないが。


「しかし、それにしてもそこまでクラン家が大切な君たちがよくサイテル家の暴挙を許したもんだな」


「そう見えたか。クラン家は緩やかに傾いていなかったか?そしてあんたも割とすぐに若様を見つけられなかったか?」


「けれど、そうは言ってもクラン家は公爵家のままだったし、アスランだって困窮していたと君も言っていただろう?」


「ファウストは傲慢で、サトゥナーは色欲、イリアは嫉妬」


 彼が何を言い出したかわからずに僕は首を傾げる。


「クラリスちゃんの経典では人間が犯す大罪らしい。他にもいくつかあったらしいがな。神に罰してもらうために罪人を作ろうと、実験してたんじゃねぇの?あいつらがどうなっても痛くも痒くもないからな」


「へぇ?」


 その言葉が引っかかる。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということか。彼らに対してあった好意がすぅと冷えるように引いていくのがわかった。変な実験をしなければ、あの愚かな一族を唆さなければ…。

 僕がイヴを失う一因を作ったのは彼らなんだと思うと急に彼らが憎く思えて仕方がない。こいつらも殺してしまって構わないだろう。僕の役に立ってもらった後、処分してしまおう。


「それに若様のことだって遅れはしたけれど、保護に行ったんだからな」


 アスランのことを出せば出すほど、エンデが焦るのがおかしくておかしくて仕方がない。笑い出してしまいそうになるのを必死で抑える。あぁ、どれだけ惨たらしく殺してやろうか。クラン家を潰してしまうことが一番の復讐になるだろうが、彼らへの報復のためにアスランやイヴを失うことは僕の本意ではない。

 長に対しては、彼が夢が実現すると思った一歩手前で殺してやるのがいいかもしれない。けれど、エンデはどうだろうか。彼への報復のためにアスランを使うことはできない。まぁ側に置くのだ。他にも弱点を見つけることができる可能性が高いだろう。


 新たな敵を見つけた。実行犯はこの手で殺せなかった。だけど、教唆をした人間を見つけられた。


 こいつらが、憎い。にくいにくいにくい。けれど見つけられた。嬉しい嬉しい。あぁどうやって殺してやろうか。想像すると楽しい。楽しくて仕方がない。今度こそ、この手で、殺してやるのだ。


 エンデは愚かだ。僕に対して優越感を感じていたのだろう。けれど口を滑らせたな。その事実だけは僕に伝えてはいけなかったのだ。

 顔が緩みそうになる。ようやく僕の手で殺せる敵を見つけられたのだ。けれど、警戒されては敵わない。顔に出してはならないだろう。顔に表情を乗せないようにするために僕はもっともっと鍛錬しなければならない。


 それにイヴを手に入れたとしても微笑まないようにしなければならないのだ。毎日鏡を見て無表情を作ってそれを定着させるようにしよう。

 さて、王家の闇よりももっと聞いておかなければならないことができた。これ以上イヴに害が及ばない様に敵の動きを知らなければならないだろう。


「他に長が具体的にどう動くかわかるかい?」


「さて、クラリスちゃんの教えについてはジジィが詳しい。正直聞いてもクラリスちゃんの考えはぶっ飛びすぎててオレには理解が難しい。

 だけどそばで見てたらなんとなく感じるものがないか?だから、何となくなんだが、オレはジジィの目的は神の召喚なんだと思ってる。まぁ、実際は違うかもしれないけどな」


「ふぅん。それならそれでいいさ。けれど僕が王家の闇を含めて色々と知らない方がいい理由はなんだい?」


「あんたもジジィの実験の一部になる可能性が高いからだ。気をつけろよ、お前が闇に染まれば染まるほど、ジジィの思惑通りになるぜ?」


 あぁ、なんて好都合なんだ。

これにてジェイドの視点はひとまず終了です。段々と壊れてきてます。


 以前までは『自分が全て悪い』でしたが、今は『自分のせいじゃない、自分よりも悪い人間がいるはず』という様に考え方が変わってきています。


 作者にとっては登場人物は全て愛着のある可愛い子たちなのでみんな幸せになって欲しいのですが、今ジェイドを書くのは作者的も少し困っております。長い目で復活を見守ってくださるとありがたいです

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