第69話 『 クロエVSブリッジ 』
「……危なかったですね」
……敵の衝撃波から〝伸張〟&〝収縮〟で辛うじて回避できた私は、少し離れた瓦礫の陰に身を隠していた。
(……奴の能力は衝撃波に硬化・発光・高速移動、と言った所ですか)
私は呼吸を整えながら、敵の戦力を分析する。
(反則臭いですね、本当に)
私は心中で毒づく。
こちらが一つしか与えられていない〝奇跡〟を三個や四個も使ってくるのだ、文句の一つや二つ言ってもいい筈だ。
「どこにいるのですかー、隠れていないで出てきてくださーい!」
巨大な蝿が飛行し、上空から私を捜索する。
「……素直に出る馬鹿がいるか」
私は身を隠しながら毒づく。
「早く出てきてくださーい、早く出ないとぉーーー……」
「――っ」
――胸騒ぎがした。
「 ぜーんぶ、ぶっ飛ばしちゃいますよ 」
(――〝伸張〟&〝収
――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!
……衝撃波があらゆる建物を吹き飛ばした。
崩れ行く建物。
舞い上がる粉塵。
――私は粉塵から飛び出す。
「……くっ、滅茶苦茶だなっ」
私は〝朧糸〟を伸縮させ、衝撃波から回避する。
「見つけましたよー、〝戦場の蜘蛛〟」
逃げる私に衝撃波が襲い掛かる。
「……っ」
私は離れた建物の屋根に糸を張り、収縮させて高速移動をする。
――轟ッッッッッッ……! 私が直前までいた場所に衝撃波が叩き付けられる。
トンッ……。私は屋根の上に着地した。
波 壊
「――っ」
私は屋根から飛び降り、間髪容れずに屋根が吹き飛ばされた。
「にっ、逃げられませんよ。この第八位――ブリッジ=ベルゼブブからはね」
「しつこいですねっ」
自由落下に身を委ねる私の横にブリッジが高速移動で回り込む。
「 〝閃〟 」
――閃ッッッッッッ……! 眩い光が私の視界を呑み込んだ。
(――これでは奴の姿が見え
――ピンッ……、糸が張った。
「――っ」
私はまた別の建物に糸を張り、収縮させて後方へ離脱する。
――轟ッッッッッッッッッ……! 前方に衝撃波が吹き抜けた。
(……危なかった)
……ブリッジに〝朧糸〟を張り、振動で感知していなければ当たっていたであろう。
私はそのまま割れた窓から建物の中へと飛び込む。
(しかし、どうする?)
建物の中に入り、一時的に身を隠した私は現状を見つめ直す。
ブリッジには硬化能力があり、私の糸では傷つけることすら出来なかった。
――火力不足
……私の弱点が浮き彫りになる。
(真っ向勝負では勝てない……ならば、搦め手を使うしかないな)
私には考えがあった。
策はある。
――同時にリスクもあった。
「一か八か上等っ♪」
私は不敵に笑んだ。
何年間、戦場に立っていた。
何千、何万人の命を奪った。
恐怖は無い。
「する権利も無い」
だから、割り切る。
だから、迷わない。
「――だから、貴方をぶっ殺せる……!」
――震ッッッッッッッッッッッッッッッ……! 建物が激しく揺れ、瓦解する。
(……建物ごと衝撃波をぶつけてきた!)
私は〝伸張〟&〝収縮〟で建物の外へ身を放り出す。
「 ほら釣れた♪ 」
――私が建物から飛び出すのを待ち構えていたブリッジが、私の頭上にいた。
「――っ」
「 〝波壊・零〟 」
――轟ッッッッッッッッッッッッッ……! 零距離の衝撃波が私に撃ち込まれ、私は地面に叩き付けられる。
「――かはっ!」
「まだですよ」
――ブリッジが間髪容れずに次なる衝撃波を撃ち込んでくる。
「当たるものかっ!」
私は〝伸張〟&〝収縮〟で、小移動し衝撃波を回避する。
「粘りますねっ、悪党のくせにぃ……!」
「戦場に善悪なんて在りませんよっ」
「いいや、僕が正義ですっ……!」
「――っ」
私は後ずさるも背中に壁が当たる。
「……行き止まり、ですか」
私の周りには建物が並び、上空にはブリッジが私を見下ろしていた。
「これなら逃げられないっ! 僕の! 僕のォ!」
「……っ!」
ブリッジが両手を合わせる。
私は照明弾をブリッジへ投げる。
「勝ちだァァァァァァァァァァァァッッッ……!」
出 力 最 大
――閃ッッッッッッッ……! 照明弾が眩い光を解き放つ。
範 極
囲 大
―― 一瞬の静寂。
暴 王 の 嵐
――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!
……暴風が全てを吹き飛ばした。




