表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/262

 第64話  『 九尾・槍型 』



 ……俺の生まれた里には化け狐が時々姿を見せた。


 それは俺が生まれるよりもずっと前から最近まであった話で、村ではずっと問題になっていた。

 その妖狐は信じられないぐらいに巨大な体躯を持ち、何より凶暴だった。


 ……俺には忍の師匠がいた。


 師匠はスパルタで腹黒で酒・女好きなろくでなしであった。

 そんな師匠の下で三年間修行し、遂に卒業試験の日が訪れた。



 ――妖狐を討ち取れ。



 ……それが卒業試験の内容であった。今思い出しても腹立たしい限りである。


 俺は化かしたり化かされたりと三日三晩戦い、何とかして妖狐を討伐することができたのであった……あのときは死ぬかと思った。


 その妖狐の骨を溶かして鉄と混ぜ合わせて叩き上げた槍こそが――この〝九尾・槍型〟であった。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「……」

 「……」


 ……俺は金矛の槍を構え、マグネと対峙した。


 「……何度やろうが、我に金属は効かぬ」

 「やってみなきゃわかんねェこともあるんだ、ぜっ!」


 俺は〝九尾・槍型〟をその場で突き出した。



 ――伸ッッッッッッ……! 金矛の槍は凄まじい速度で伸長し、マグネに襲い掛かる。



 ……変幻自在。これこそが〝九尾・槍型〟の能力である。


 「奇っ怪な武器だ――だが、当たらぬ」



          かい



 マグネが〝奇跡スキル〟を発動した。


 「 曲がらねェよ 」


 「――っ!」


 ……槍の軌道は曲がらず、マグネに打ち込まれた。


        が


 「かってェなっ」


 マグネの皮膚は鋼のように硬く、槍は容易く弾かれた。


 「……どうやら我の〝磁界〟が効かないようだが、如何せん火力が足りぬな」


 「いや、十分だよ。ヘンテコな力さえ攻略できればな」



     変     化



 ――弾かれた槍が鎖の形になり、円軌道を描き、マグネの身体を拘束した。


 「俺の〝九尾・槍型〟は形状・性質・質量を変化することができる」


 鎖はまるで吸い付くようにマグネの体躯を締め付けていた。


 「だから、また鉄に戻した。お前は自分のヘンテコな力によって拘束されるんだ」


 「……」


 俺の言葉にマグネは沈黙した。


 (……さて、どう出る?)


 俺も無言で奴の動向を窺う。



 「……戦争を舐めているのか? 小僧」



 ……マグネが静かに激怒した。


 声は静かであるが、その言葉の節々から怒りの感情が覗き見えた。


 「わざわざご丁寧に能力を開示するとは、少し驕りが過ぎるぞ」

 「……」


 マグネの威圧感が高まる。


 「……鉄に戻しただと、ならば〝磁界のうりょく〟を解除すればいいだけの話だ」


 マグネが能力を解除したのか、弛んだ鎖が地面に落ちた。



 「 それを待ってた 」



 ――トンッ……。マグネの背後に俺がいた。



 「〝九尾・槍型〟の性能を開示したのは、お前のヘンテコな力を解除させる為の罠だったんだ」


 「――っ」


 ……俺の手には〝鬼紅一文字〟が握られていた。


 「思い通りに罠に嵌まってくれでありがとう――お陰でやっと〝鬼紅一文字これ〟が使える」


 「……小僧、がっ」


 〝九尾・槍型〟を突きだした影分身が消滅する。




     刹     那




 ――斬ッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! マグネが斜め一線一刀両断された。



 「……ぐっ……がっ」


 「まずは一人目だな」


 崩れ落ちるマグネ。


 深紅の刃が鞘に収まる。



 ペルセウス王国、サクラダ地区南西部の戦い。


 戦闘時間、3分25秒。


 勝者――……。



 ――伊墨甲平


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ