第63話 『 甲平VSマグネ 』
――サクラダ地区、南西部。
「……我はマグネ、第十一位――マグネ=ベルゼブブ」
マグネの巨大な口腔がこちらを向く。
「いざ、尋常に勝負」
――閃ッッッッッッッッッッッッ……! 開かれた口腔から巨大な光線が放たれた。
「初っぱなから飛ばし過ぎだろっ!」
俺は光線をかわし、そのままマグネに緊迫する。
「そっちがその気ならこっちも最初から全力で行かせてもらうぜ!」
――〝忍の七つ道具〟
俺は緊迫しながら、巻物を開き、一本の日本刀を口寄せする。
「出番だ――……」
鬼 紅 一 文 字
俺は深紅の刀を握り締めた。
(〝忍の七つ道具〟の一つ、〝鬼紅一文字〟。その能力は――)
―― 一刀絶断。振れば必ず斬り裂く、至高の一刀。
(時間が無ェんだ! 形振り構ってらんねェんだよ!)
敵が一人ではない以上タイムアタックは必然。〝鬼紅一文字〟には副作用があるが、背に腹は代えられなかった。
「神速抜刀――……」
俺は抜刀の構えのままマグネに飛び掛かる。
刹
「――っ!」
――突然、俺の身体と〝鬼紅一文字〟が謎の力によって引き寄せられた。
(この間合いじゃ抜けねェ……!)
引っ張られたせいで刃を抜く間合いを越えてしまったのだ。
「 〝雷々招来〟 」
――しまっ
……稲妻が走る。
「ガアァァアァァァァアアァァァァァァァァッッッ……!」
――全身に電撃が駆け抜けた。
「――がっ――ぁっ!」
まずい! 電撃のせいで身体が硬直して――……。
閃 滅
「……避け、らんねェ」
――直撃。巨大な光線が俺に叩き込まれた。
「――ッッッッッッ……!」
おっ
重ェッ……!
俺は堪らず吹っ飛ばされる。
「――クッ、ソがぁっ!」
俺は空中で体勢を立て直し、靴の踵を削りながら着地した。
「……なんつぅ威力だよ」
俺は腹の所に仕込んでいた鉄板を抜き毒づく。
……鉄板は熔け、出鱈目に変形していた。
(……鉄板を仕込んでいなかったら危なかったな)
俺は鉄板を投げ捨て、改めてマグネと対峙した。
(……セシルさんから話は聞いていたけど、本当に複数の能力を使ってきやがるな)
――〝血継術〟、本当に反則じみた力だ。
(……〝鬼紅一文字〟も謎の力に引っ張られて使えねェな)
俺は〝鬼紅一文字〟を巻物に収納した。
(……恐らく仕込んでいた鉄板を引き寄せた力と〝鬼紅一文字〟を引き寄せた力は一緒だ)
俺は手裏剣をマグネに投げつける。
「……」
――曲ッッッッッッ……。しかし、手裏剣は出鱈目な方向に飛び、地面に突き刺さった。
(……俺の推測が正しければ、奴は鉄を引き付けたり、軌道をねじ曲げたりすることができる)
だから、鉄は使えなかった。
(どうする。俺の武器のほとんどが鉄に依存して
……そこで思考が途切れる。
「……霧?」
そう、俺の周囲に先程まで影も形もなかった霧が覆っていた。
「 〝白霧〟 」
霧は濃くなり、やがて視界が一面真っ白になる。
「目隠しかよ」
「 そうだ 」
――俺の超聴覚が何かが迫り来る音を知らせる。
(この音は――光線か!)
先程光線を食らった際に聴こえた音と一致していた。
俺は半歩下がり、光線を回避した。
「……お前、見えているのか?」
「どうかな?」
マグネの問いに俺はおどけて誤魔化した。
「やるな――だが、これならば」
「――」
――嫌な予感がした。
(これは複数の音?
「 もう遅い 」
千 殺 光 牢
――無数の光の矢が〝俺〟に撃ち込まれた。
「360°に及ぶ殺戮の嵐、凌ぎ切れはしないであろう」
……悪いな、マグネ。
――ボコッ……。マグネの背後の地面から何かが飛び出した。
「それ、影分身だぜ」
「――」
土 遁 ・ 土 竜 潜
火 遁 ・ 火 龍 熱 焼
――轟ッッッッッッッッッ……! 地面から飛び出した本物の俺は業火を吹き、マグネを焼き払った。
「どうだ!」
鉄は凌げても炎までは凌げま
「 〝閃滅〟 」
――閃ッッッッッッ……! 光線が炎を突き破り、俺に放たれる。
「炎も効かねェのかよっ!」
俺は光線を回避し、マグネと距離を取った。
「……」
……鉄の類いは効かない。
……炎も効かない。
「……どうしたものかね」
俺はマグネを倒す手段を模索した。
「万策は尽きたか?」
「まだ、十パーセントしか出してねェよ」
軽口を返しながらも、俺はマグネの攻略法を探した。
(……鉄は駄目、炎も駄目……なら、どうする?)
しかし、意外にも簡単に突破口は見つかった。
(あるじゃねェかよ、俺には)
俺は巻物を取り出し、開く。
「出番だ」
それは〝忍の七つ道具〟の二つ目――……。
「 〝九尾・槍型〟 」
……俺は一本の金矛の槍を握り締めた。




