第61話 『 王下十二臣VSベルゼブブ小隊 』
『〝対特〟こちら〝00〟! ベルゼブブ小隊を発見次第速やかに殲滅せよ!』
「こちら〝対特〟、了解」
……時は来た。
「セシルさん!」
「甲くんは南西の敵を殲滅してください!」
「了解!」
俺は待機位置から飛び出し、南西の方向を確認する。
「あれか」
……確かに空からゆっくりと降りてくる何かが確認できた。
(……小隊の数が十七人なら一人一殺じゃ足りねェ、一人でも多くの敵を倒さないと)
俺は戦場を駆け抜ける。
血と火薬の臭いが鼻腔を抜ける。
荒れ果てた街並み。
数え切れない程の死体の山。
「瞬殺してやるよっ……!」
……クロエさんがここまで頑張って戦ってきたんだ。
(応えてやるさ! 全力でな!)
そして、俺は足を止めた。
「……」
「……」
……俺の目の前に一匹の巨大な蝿がいたからだ。
「……お前は?」
人語を解する巨大な蝿が俺に問い掛ける。
「俺は伊墨甲平」
俺は刃を抜く。
「 お前の敵だ 」
……さあ、仕事の時間だ。
――サクラダ地区、東部
「……この人達を殺したのは貴女ですか?」
巨大な蝿が地面に転がる死体の山を指差し、私に質問した。
「そうですけど、何か?」
「……」
巨大な蝿が自分の顔を覆った。
「……うっ……ぅっ」
……と思ったら泣き出した。
「……酷いっ……酷過ぎますっ……彼等にも家族や恋人が居るのに、貴女は最低だっ」
「……」
巨大な蝿は大泣きする。私は呆れて溜め息を溢す。
「……酷いっ……酷ィよっ……酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷いィィィィィィィッッッ……!」
巨大な蝿が吼える。
「――ッ」
――衝撃波が私目掛けて放たれる。
「〝伸張〟&〝収縮〟」
私は少し離れた建物の屋上の上に移動し、衝撃波を回避する。
「……それが貴方の〝奇跡〟ですか」
「 〝波壊〟 」
――更なる衝撃波が私に襲い掛かる。
「無視ですか」
私は再び〝伸張〟&〝収縮〟で回避し、そのまま接近する。
「 〝波壊・嵐〟 」
接近する私を迎え撃つように衝撃波が連発される。
「単調ですね、舐めているんですか?」
しかし、私は全ての衝撃波をステップ&ステップで回避する。
「 〝強縛〟 」
――既に私は敵の背後にいた。
――糸が敵に絡み付く。
「 〝切断〟 」
私は糸を緊縛す
(――切れない?)
……そう糸を緊縛した筈なのに敵を切れなかった。
「 〝硬鋼鉄皮〟 」
敵の外皮が硬すぎたのだ。
「出ましたか――〝血継術〟」
――〝血継術〟
……それこそが〝七凶の血族〟が世界最強たる所以であった。
〝七凶〟の血が流れる者には、通常の〝奇跡〟に加えて〝血継術〟と呼ばれる遺伝性の異能を操ることができた。
突然変異の〝神の子〟と違い、〝七凶の血族〟の二つ目の能力は一族が皆同じ能力を有していた。
そして、ベルゼブブ家の二つ目の能力は――……。
――〝悪食王〟
……捕食した人間の〝奇跡〟を行使できる〝血継術〟である。
「 〝白き世界〟 」
「――っ」
――閃ッッッッッッッッッッッッ……! 目映い閃光が私を呑み込んだ。
私は思わず腕で目を覆い、後ろへ跳んで距離を取る。
(――この距離はまず
――私の背後に巨大な蝿が立っていた。
(――っ! 高速移動も使え
「 〝波壊〟 」
――特大な衝撃波が私に叩き込まれた。
――サクラダ地区、北部。
「……何で僕だけ二人何ですかね」
……僕は目の前に立ちはだかる二匹の巨大な蝿に不平を漏らした。
「第十三位、ジェロ=ベルゼブブ」
「第十四位、ミハイル=ベルゼブブ」
どうやら敵の名前はジェロとミハイルと言うらしい。
「僕はロキ=キルシュタイン、お手柔らかに頼みますよ」
僕は名乗り、拳銃を抜いた。
「名乗ったついでに確認したいんですが、お二人さん――男ですかね?」
そして、とても大事なことを確認した。
「……何故、そのようなことを確認する」
「戦いで関係のないことであろう」
ジェロとミハイルが僕の質問に疑問を持つ。
「大有りですよ、僕、女の子とは戦えませんし」
「「――」」
僕の回答に二匹が絶句した。
「……フハハッ、貴様、面白い男だな」
……と思ったら笑いだした。
「よく言われますよ」
「安心しろ俺達は性別上は間違いなく男だ」
「そうなんですか! ラッキー!」
「「 だから、心意気なく死ね 」」
――ジェロとミハイルが同時に飛び出した。
「ですよねー」
安全装置を外す。
引き金に指を掛ける。
「その言葉、そっくりそのままお返しさせていただきますよ」
……僕は拳銃を二人に発砲した。




