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 第55話  『 セフィリア、家に帰る! 』



 ……晩餐を終えたセフィリアを送り出す為に、俺を含む使用人は門の前まで集合させられた。


 「そんな、今日ぐらいは泊まっていけばいいのにー」

 「ごめんね、ペルちゃん。お父様から帰ってくるように言われているんだ」


 ペルシャの言葉にセフィリアが寂しそうに笑う。


 「そんなに寂しがらないでペルちゃん、またすぐに会いに来るからね」


 そう言ってセフィリアはペルシャの頬に口付けをした。


 「――ぐはっ!」


 クリス、迫真の吐血。


 「またね、ペルちゃん」

 「うん!」


 セフィリアは体を離し、微笑んだ。


 「またな、セフィリア」

 「うん、次に会うときを楽しみにしているよ」


 俺はセフィリアと握手した。


 「風邪、引くなよ」

 「はい、お兄様」


 ファルスとセフィリアが兄妹らしい会話をする。


 「またね、皆!」


 それだけ言ってセフィリアは馬車の中に入っていった。


 『……』


 そんなセフィリアを無言で見送る俺達。


 「そう言えば甲くんっていつの間にかセフィリア様と仲良くなられていたのですか?」


 セフィリアの乗った馬車が見えなくなり、セシルさんが俺に耳打ちする。


 「……? いや、別にそんなに仲良くないけど」

 「仲良くない割には距離感近くないですか?」


 ……まあ、裸見て、殴られて、一緒に泣いたぐらいか。


 「にしても、ペルシャは本当にセフィリアと結婚するのか?」

 「……ん?」

 「いや、だから結婚するんだろ? 許嫁なんだし」


 ペルシャとセフィリアは許嫁同士なのだ。それはいつかは結婚するということであろう。


 「えぇっ! わたし、セフィちゃんと結婚するのっ!?」


 『しないの!?』


 ペルシャの発言に一同が驚愕した。


 「許嫁って友達の凄い版じゃないの!」


 えぇー……。


 一同がドン引きした。


 「常識的に考えて女の子同士で結婚なんて有り得ないよね! ね!」


 「――ごばぁっ……!」


 クリスが盛大に吐血した。


 「……まあ、いつか価値観も変わるかもしれませんしね」


 セシルさんが吐血しまくるクリスをフォローする。


 「そもそも友情だと思ってたら向こうは愛情だったなんて、正直重いよね! ね!」


 「――オロオロオロオローッ」


 クリス、吐く!


 溜め込んできた悲哀! 失望! 何もかもを全部吐き出した!


 「ちゃんと掃除してくださいねー♡」


 流石のセシルさんも許容できなかったのか、クリスにモップとバケツを笑顔で手渡した。


 (……まっ、こんなもんか)


 泣きながら庭を掃除するクリス、容赦なくレズ否定をするペルシャ、クリスを監督するセシルさん、俺の尻を撫でるファルス――オイッ。


 いつも通りの日常、騒がしくて忙しないそんな日常。


 (……悪くねェな)


 俺はそんな日常に充実感を感じていた。


 (明日はどんなことが起きるんだろうな)


 この世界は面白い。楽しいことや楽しい奴等に溢れていた。


 (……ずっと続けばいいのにな)



 ……賑やかな日常、それは今の俺にとって欠け代えのないものになりつつあった。








 ――ドラコ王国。


 「それでは皆の者の意見を聞きたい」


 ……国王が大臣や将軍を集め、会議をしていた。


 「私は一週間後、ペルセウス王国を侵略しようと考えている」


 重苦しい空気の流れる会議室。


 「皆の意見を聞きたい。異論はないかね」


 『……』


 僅かな沈黙。

 しかし、すぐに何者かが口を開く。



 『 異論無し 』



 次々と口を開く。


 『 賛成 』


 『 異議無し 』


 『 やりましょう 』


 判決。


 決定。


 「……決まったな」


 国王が重い腰を上げる。



 「 一週間後、我々ドラコ王国はペルセウス王国を攻め入るっ……! 」



 ――決戦確定。



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