第48話 『 海とおでんと合格通知 』
……ビーチバレーが終わり、気づけば夕陽が地平線に沈みかけていた。
「……そろそろ帰るか」
正直、遊びすぎて疲れていた俺は帰宅の提案をする。
「そうだね、明日も仕事があるし、今日はこの辺りでお開きとしようか」
ファルスが夕陽を眺めながら呟いた……お前、いつからいたの?
「そういえば、キャンディ」
「どうしたの?」
何か帰る雰囲気であったが、俺にはキャンディに確認しなければならないことがあった。
「俺の試験ってどうなったんだ?」
「…………………………………………あー、試験の結果なの」
……絶対、忘れてたろ。
「試験は合格なの、明日正式に身分証を渡されるの」
「へえー」
「ところで、今晩の夕飯は何かなの」
「確かシチューだったような」
「やったーなのー」
沈む夕陽。
穏やかな波の音。
カモメの鳴き声がやけによく聴こえてくる。
「何か地味過ぎないっ!?」
俺は堪らずツッコミを入れてしまう。
「地味?」
「地味過ぎるよ! 晩御飯のメニューに流されるぐらいにあっさりしているよ!」
こんなんじゃない! 俺が求めていた合格通知はこんなもんじゃない!
俺が求めていた合格通知は……!
「じゃあ、どんなリアクションがお望みなの?」
「……どんなのってそりゃあ」
ほわんほわんほわーん――……。
――ドッカァーーーーーンッッッ……!!!
……手始めに取り敢えず爆発するじゃん。
――ドッカァーーーーーンッッッ……!!!
……畳み掛けるように爆発するじゃん。
爆煙が収まる頃に花火が上がるじゃん。
花火には俺の名前が夜空に輝くじゃん。
気づけば青空に虹が掛かってるじゃん。
――パチパチパチパチ
……すると盛大な拍手が聴こえてくるじゃん。
「甲平くん、合格おめでとう!」
ペルシャが俺におっ○いを押し付けて抱きついてくるじゃん。
「甲くん、おめでとうございます♡」
セシルさんが反対側の方からおっ○いを押し付けて抱きついてくるじゃん。
「お兄ちゃん、格好いいの(///」
キャンディが俺の膝に乗っておっ○いを押し付けて抱きついてくるじゃん。
――ドッカァーーーーーンッッッ……!!!
そこでもう一回爆発するんだ。
舞い上がる赤い爆煙。
しかし、赤い煙は風に流され視界が開けて――……。
……伊墨甲平とファルス=レイヴンハートは結ばれました。
「 誰だよ! 人の妄想に割り込んできた奴はっ!? 」
「僕だよ、伊墨くん」
「知ってたけどっ!」
……人の妄想にまで入ってくるとは、恐るべき男だ、ファルス=レイヴンハート。
「てか、何でお前まで海に来ているんだよ!」
「説明するよ」
……説明が始まった。
僕の名前は大根。
おでん歴二十年のベテランである。
そんな俺は今、恋をしていた。
その女性の名はラッキースターさん、かまぼこ星のアイドルである。
そして、一月二日、俺はラッキースターさんに告白する予定であ
「説明になってねェェェェェェェェェッッッ……!」
何で、大根だよ!
ラッキースターって誰だよ! おでんの具じゃないのかよ!
何で、おでんなのにかまぼこなんだよ!
「その説明は彼女からしてくれるよ」
「彼女?」
俺はファルスが指差す方向を見る。
「初めまして、ラッキースターです」
「ラッキースター、だって?」
……来ちゃったんだ、ラッキースター。
「ラッキースターって一体どんな奴なんだっ」
そこには大根がいた。
「やっぱ大根じゃねェかっ!?」
……大根だった。
結論、大根は旨い。
「おでんはやっぱり大根に限るね♪ 愛紀ちゃん(もぐもぐ」
「ですね、ペルシャさん(ハフハフ」
ラッキースターさん、食べられちゃってる!?
「皆様、ちくわや昆布やこんにゃくもありますよ」
クロエさんが屋台のようなものを建て、おでんを作っていた。
「じゃあ、皆でおでん食べようぜ!」
『わーい!』
……皆でおでんを食べた。そして、俺は正式にペルセウス家に仕えることになった。




