第45話 『 幼女はおやつに入りますか? 』
……準備体操とやらを済ませた俺はふとあることに気がついた。
「そういえば」
俺はさっきからやけに存在感を消している男に目をやった。
「ラビは何で海水浴に来たんだ?」
「あっ?」
俺の質問にラビは低い声で返す。
「いや、何かキャラ的に面倒臭がりそうなのになーって」
「……まあ、お前の感想もわからんでもないが」
そう言ってラビはシュボッっと煙草に火を着ける。
「俺も一応執事だからな、ペルシャ嬢の護衛に来たんだよ」
「まあ、そりゃそうか」
ペルシャが滅茶苦茶過ぎるから忘れそうになるが、あいつ一応この国の第一王女なんだよな、一応。
「実際、面倒臭ェしさっさと帰りたいんだがな」
そう言ってラビはハードボイルドに紫煙を吐いた。
(……ラビ、やっぱり渋い奴だぜ)
俺は何故か感心した。
「お兄ちゃーん! 皆でビーチバレーしようなのー!」
ラビの渋さに感心していると、キャンディがボールのような物を持って駆け寄ってきた。
「おう、いいぞ……ところでビーチバレーって何だ?」
「ビーチでバレーをすることなの」
「……まず、バレーが何なのかわからないんだが」
球技であるのは何となく察した。
「……(ゴゴゴゴゴゴッ」
すると、俺は何か視線というか殺気のようなものを感じた。
「……って、どうしたんだラビ。恐い顔して」
ラビが今にも人を殺しそうな程の形相でこちらを見ていた。
「何でもねェよ、さっさとビーチバレーにでも何でも行きやがれ」
「あっ、ああ」
何か明らかに不機嫌であった為、俺は必要以上に言葉を交わさなかった。
(……やっぱり視線を感じる)
俺は背中に突き刺さる視線に振り向く。
「……」
……ラビがメッチャ見ていた。
「……なあ、ラビ。言いたいことがあんならはっきり言ってくれないか」
「だから、何でもねェって」
「いや、だからさっきから視線を――って、待てよ」
よく見たらラビの瞳に俺の姿は映っていなかった。
(……コイツッ、コイツッッッ!)
衝撃的な事実に俺の脳内に電撃が走る。
( キャンディしか見えてねェ……! )
見えてねェ!
見えてねェー
てねェー……。
「……ラビ……一つ確認していいか?」
「何だよ」
……その視線は常にキャンディの方に向けられていた。
「お前、まさかキャンディのことが好きなのか?」
「あ"っ」
「お前、キャンディのこと好きなのか?」
「別に好きじゃねェけど」
「沈黙長ッ!?」
「長くない」
「いや長いッ!」
その長さ、現実時間にしておよそ十二秒!
「お前、キャンディのこと好きじゃないの?」
「だから、そう言っているだろ」
シュボッ、そう言ってラビは煙草に火を着けた。
「俺はガキなんかに興味無いっつうの」
「……ラビ」
ラビがハードボイルドな佇まいで煙を吐く。
……ハート型の煙だった。
「やっぱロリコンじゃねェかっ!?」
……第45話、まとめ。
『 ラビはロリコン 』




