第43話 『 胸囲の格差社会 』
……前回までのあらすじ。
キャンディの水着が流され、俺は頭に肘打ちをされ、顔面に鉄拳をくらい、頭に肘打ちをされ、顔面に鉄拳をくらった。
「……ふう、死ぬかと思ったぜ」
……海に沈んだ俺は何とか復活し、再び砂浜を踏み締めた。
「……あれ? 皆は?」
「皆様でしたら向こうの方で貝を拾われていますよ」
俺を救出してくれたクロエさん以外の皆が見当たらなかった。
「ふーん、貝拾いねェ」
俺はクロエさんが教えてくれた方向に目をやる。
――ペルシャがウ○コを拾っていた。
「何でウ○コ拾ってるのっ!?」
流石の俺も突っ込まざるをえなかった。
「あれ? 甲平くん、復活してたの♪」
「復活してたの、じゃなくて何でウ○コ拾ってるの!」
ペルシャは俺に気づくも、構わずトングのようなものでウ○コを拾い、籠に入れ続ける。
「形が巻き貝に似てるよね、これ♪」
「……」
「……」
「……」
えっ、説明終わり! 何一つ納得いかなかったんだけど!
「ところでクリスや姫は?」
「一緒に貝拾いをしていたと思うけど」
そう言われ俺は周りを見渡した。
……クリスが知らないハゲたオジサンを籠に入れていた。
「何やってんだ、お前ェーーーーーッ!」
俺は籠に入っているハゲたオジサンを救出した。
「クリス! このオジサンは一体誰なんだよ!」
「ジョンソンだ」
「ジョンソンなの!?」
籠に入っているハゲたオジサンの正体はジョンソンであった。
「何で籠にジョンソン入れてるんだよ!」
「ハゲていたからだ」
「ハゲに厳しくない?」
「ハゲていたからな」
「二回言うな!」
「ハゲて! いた! からな!」
「三回言うな! 強調して言うな! って、ハゲが泣いてる!」
……ハゲは打たれ弱い。
「死ねェ!」
ハゲが拳銃を抜いた……怒りすぎ。
「遅いな」
しかし、クリスはその動きに反応して、拳銃を叩き落とした。
「……てか、何で拳銃持ってるの?」
「やはり暗殺者か」
「……暗殺者?」
クリス曰く、このハゲは暗殺者のようである。
「クリスは何で暗殺者ってわかったんだ?」
「ハゲていたからな」
「……」
……俺は絶対に将来ハゲるものかと心に誓った。
「そう言えば姫はどこに?」
ハゲを拘束した俺は姫を捜す為に辺りを見渡した。
「姫ー、ひー……っ!?」
そこで俺はとんでもないものを見た。
……姫が巨乳になっていた。
しかも、やたらおっ○いが鋭利であった。
……いっ、一体何が起きたんだ。
「姫っ! 何かいつもと違くないっ!?」
「甲平っ! これは違うんですっ!」
姫が顔を真っ赤にして胸元を隠した。
「何で隠すんだよ! 何だかよくわかんないけど大きくなったんだろ、良かったじゃないか!」
「……えーと、これはですねー」
俺の言葉に姫が明後日の方向を見る。
「てな訳で記念に揉むね、容赦なく揉むね」
「……えっ?」
俺はめでたいので姫のおっ○いを揉むことにした。
「――ちょっ、まっ!?」
――硬
……姫のおっ○いは人肌とは思えない程に硬かった。
「……あれ?」
「……(プルプル」
姫が顔を更に真っ赤にして、肩を震わせた。
「えーと、ちょっと待てよ」
俺は水着の紐を軽く引っ張って、胸と水着の間にスペースをつくる。
――ぽろっ……、二つの巻き貝が砂浜に転がった。
「……」
「……」
俺は巻き貝から姫の胸元へと視線を戻す。そこにはいつもの平らな胸元があった。
「……あのー、姫さーん」
「……」
「ひ・め・さーん!」
「……ぅっ、うっ」
「!?」
……姫が急に泣き出した。
てっきり殴られるものかと思ったが、予想外なリアクションに流石の俺も困惑する。
「うえーん! 私だって好きで小さいんじゃないのに! 小さいんじゃないのにーっ!」
「おっ落ち着け、姫! 周りからの視線が痛いから泣き止んでくれ!」
しかし、困ったことに姫は中々泣き止まない。
「どうしたの、甲平くん?」
姫の泣き声に駆け付けたのか、ペルシャが俺達の方へと駆け寄ってきた。
「おう、ペルシャか。それがな――って、臭っ! ウ○コ臭っ!」
ペルシャの手にはウ○コの入った籠があり、ただただ臭かった。
「あっ、ごめんごめん」
ペルシャは籠を明後日の方向へぶん投げた。
「ウ○コ投げたーーーっ!」
「えっ、だって臭かったからねー」
「そもそも何で集めてたの!?」
「……?」
「もう駄目だ、頭がおかしくなりそうだよ!」
ペルシャの頭の中は超宇宙で、とてもじゃないが理解できそうになかった。
「それで愛紀ちゃんは何で泣いてるの?」
「あっ、そうだった」
脱線しすぎて忘れていたが、本題はそれであった。
「それはな――……」
……俺はペルシャに事の経緯を話した。
「……なるほど。大体話はわかったかな」
ペルシャは状況を理解したようでうんうんと頷く。
「今更、何やっても手遅れだし皆でお昼ご飯でも食べない?」
……理解したからといって、解決策を出してくれる訳ではなかった。
「そうかもしれないけどさ、同じ女として何かアドバイス的なものとかないか?」
「うーん、わたしも勝手に大きくなったし、遺伝子レベルで手遅れとしか」
「お前、それ絶対に姫に直接言うなよ」
辛辣過ぎて俺も少し引いた。
「……聴こえたんですけど」
……残念なことに、発育は悪くも耳は良い姫は俺とペルシャの会話をちゃっかり聞いていた。
「ひっ、姫!」
「愛紀ちゃん!」
姫の目は死んでいた。最早、見るに耐えない姿であった。
「……大丈夫……はい、大丈夫ですから」
全然大丈夫そうじゃない。
「ふふふっ、ほら、私笑えているでしょ、ふふふふふふふふっ」
目が笑っていない。
「だっ、大丈夫だよ、愛紀ちゃんっ! わたしも三年前くらいは小さかったし、成長期は人それぞれだよ! たぶん!」
ナイスフォローだ、ペルシャ! たぶんは要らないけど!
「……そっ、そうかな?」
おっ、姫の瞳に微かに光が戻ったぞ!
「そうだよ! だからきっと愛紀ちゃんもばいんばいんになれるよ!」
「……ペルシャさん(ウルウル」
ペルシャの言葉に涙ぐむ姫。
(……よしよし、良い流れになってきた
「 お兄ちゃーーーん、一緒に砂遊びしようなのーーー! 」
――キャンディが手を振りながら俺達の方へと駆け寄ってきた。
……ばいんばいんとおっ○いを揺らしながら。
「……」
「……」
「……」
……姫は静かに海に沈んでいった。
「姫ーーーーーーーーーーッ!」
……俺の叫び声が姫の心に響くことはなかった。




