第41話 『 キャンディの話、長すぎない? 』
……最近、お嬢とペルシャを見ていないような気がした。
(……最近、試験で忙しいからなー)
まっ、いいか!
……そんな訳で、今日は最後の試験に挑むのであった。
「それで今日は何をするんだ?」
……いつもの忍者装束に着替え終わった俺は、キャンディに試験の内容を確認する。
「……」
「おーい、キャンディー」
「……」
一方でキャンディは何処か上の空であった。
「キャンディ!」
「……っ!」
……やっと気づいた。
「どうしたんだ、さっきから心ここに在らずって感じだぜ」
「……だって、昨晩あんなことがあったからなの」
「……昨晩?」
「何でもないの!」
……うむ、気になるな。
「そうなの! 今日の試験の説明をするの!」
「えぇー」
「するの!」
昨晩のことも気になったが、また今度にすることにした。
「それで最後の試験は何をするんだ?」
「ふふふー、それは――……」
キャンディが不敵に笑い胸を張る。
「 海水浴なの! 」
……海水浴?
(普通に海水浴するのか? いや、最後の試験だぞ、そんな単純な筈がない!)
そう、きっと今までの試験と比にならない程の超難易度に違いない。
「ところで海水浴に行って何をするんだ?」
「 海で泳いだり、砂浜で遊んだりするの 」
「……そうか」
……ただの海水浴だった。
「海水浴じゃねェか!」
「……最初からそう言っているの」
言っていたけども!
「悪いがちゃんと説明してくれ――って、もう浮き輪と麦わら帽子被ってる!?」
……流石はロリ巨乳、かなりのスピードタイプであった。
「……説明?」
「そうだ、どう解釈したら海で泳いだりしたり砂浜で遊んだりするのが試験になるんだよ」
大概のことがテキトーな俺でも、気になって朝と昼と夜しか眠れねェぞ。
「眠りすぎなの!」
〝心眼〟で読心してツッコミを入れるキャンディ。能力の無駄遣いである。
「何で海水浴か? それには深い理由があるの」
「……深い理由?」
「 内容考えてなかったからなの 」
「ふざけんなよ」
……浅すぎて爪先も浸からなかった。
「仕方ないの! だって、今まで第二試験で皆落ちてたから、最後の試験なんてやったことなかったの!」
「つまり俺が凄すぎるってこと?」
「自惚れんな、なの!」
……そんなに強く言わなくても。
「……でも、ごめんなさいなの。キャンディがちゃんと考えておけば良かったなの」
「いや、別に試験合格させてくれるなら別にいいけど」
「……凄いドライなの」
しなくていい試験ならやらないに越したことはないので。
「まあ、折角だし海を楽しもうぜ」
「うん、なの!」
合法的に仕事サボって海で遊べるなら悪くない話であった。
「そんじゃあ、皆も呼んでくるわ」
俺は非番の使用人を捜すべく部屋を出
――きゅっ……。服の裾をキャンディが掴んだ。
「……行きたいの」
キャンディが俯き、顔を赤くして言葉を紡ぐ。
「……お兄ちゃんと……二人だけで行きたいの」
「……キャンディ」
上目遣いでそんなことを言ってくるキャンディに、俺はちょっとドキッとした。
「いいぜ! たまにはそういうのもありだな!」
「……っ」
俺の言葉にキャンディがぱあっと笑顔になる。
「それじゃっ、それじゃっ! すぐに行くの!」
「おう、少し落ち着けよ」
年相応にはしゃぐキャンディは何だかんだ可愛らしかった。
「……海か」
……そんな訳で俺とキャンディは二人で海水浴に行くことになった。
「……海水浴……いいな」
……そんな俺とキャンディを、部屋の外から覗き見ている者がいた。




