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 第28話  『 ゴキブリとファルスは基本的にしぶとい 』



 「俺は伊墨甲平、三日間だけだが取り敢えずよろしくな」


 ……どうやら三日間行動を共にするらしい少女に俺は握手を求めた。


 「……(ぷい」


 しかし、キャンディはガン無視して、ペロペロキャンディーを舐めていた。


 「……………………うん」


 ぶっ殺そ。


 キャンディは恐らく歳は俺よりも大分幼いのであろう。それなのに二番隊の隊長を任されているのは立派なことであった。

 見た目は西洋人形のように美しく、透き通るような白い肌と金糸のようなブロンドヘアに赤と青のオッドアイもまた異彩を放っていた。


 でも、ぶっ殺そ。


 「なあ、検査って何をするんだ?」

 「……(ペロペロ」

 「……」


 よし、殺すか。



 「 伊墨くんが話し掛けているのに無視は良くないんじゃないかな、シロップ隊長 」



 ――びちゃびちゃびちゃー。突如、姿を見せたファルスがキャンディの頭の上で雑巾を絞った。


 「……なっ!」


 何で雑巾っ!?


 「やはり、君に検査員は相応しくないね。僕が代わろうかい?」


 ぺしっぺしっ、とファルスがキャンディの頭に雑巾を叩き付けた。


 (何て陰湿な嫌がらせをしやがるんだ、コイツは!)


 俺もキャンディの態度に腹を立てていたが、ファルスの嫌がらせは度を過ぎていた。


 「……」


 ――バキッ……! キャンディが手に持っていたペロペロキャンディーの棒をへし折った。


 「さあ、伊墨くん。僕と一緒に薔薇色で優雅な検査を



 ――ゴッッッッッッッッッッッッッッ……! キャンディの回し蹴りがファルスの顔面に叩き込まれた。



 「……ぽっ、ぽぴー」


 ファルスは意味不明なことを呟き、吹っ飛ばされ、窓を突き破り、中庭を転がり、池州に落ちた。


 「……」


 ……これ、死んだんじゃね?


 いつまでも上がってこないファルスに俺は冷や汗を垂らした。



 「 うん、死んだね♪ 」



 ……そう、答えたのは他でもないファルスであった。


 「生きてるじゃん!?」


 ファルスは普通にピンピンしていた。


 「何で下だけ脱いでるんだよ!?」

 「少しばかり窮屈だったからね」


 ファルスは何故かズボンと下着を脱いでおり、意味不明なことにビンビンしていた。

 てか、今更だけど……。


 「お前、昨日死ななかったっけ! いや、死んだだろ!」


 ……俺の記憶が違わなければファルスは腹から血と腸を出して死んでいた。


 「まあ、確かに僕は昨日死んだ。今も死んだ。だけど、蘇った……これら全てが事実だよ」

 「……そんなんありかよ」

 「これこそが僕の〝奇跡スキル――……」


 ファルスはまるで演説をするかのように両手を差し出し、微笑した。



 「 〝絶対蘇生許可証リベンジライフ〟……如何なる死からも蘇生する力だよ 」



 ……絶対に蘇生する力、これがファルスの能力ようである。


 「ちなみに、蘇生するタイミングと場所は選べない日と選べる日が交互に訪れる。昨日は選べない日で今日は選べる日。だから、さっきの死はすぐに蘇ることができたのさ」


 ファルスは訊いてもいないのにベラベラ能力を語り始めた。


 「昨日みたいに選べない日に死んでも大体その日の内に蘇生できる。これが〝絶対蘇生許可証リベンジライフ〟の能力だよ」

 「へえー、便利な能力だな」


 不死身は強能力なので素直に羨ましかった。


 「うん、わかったから帰っていいぞ」


 何で来たのかはわからないが、検査の邪魔でしかないのは事実であった。


 「ふふっ、辛辣な君も新鮮だね」

 「そうだな、もう帰ってくれ」


 ……ファルスは自分の部屋に戻った。


 「よし、邪魔者も居なくなった訳だし、検査を再開しようぜ……って、あれ?」


 ……既にキャンディの姿はここには居なかった。


 「いつの間に! クソ、どこに行きやがった!……はっ、これは!」


 ……足下には濡れた足跡が向こうの方まで続いていた。


 恐らく、これはファルスが絞った雑巾の水を頭から被ったキャンディの足跡であろう。

 俺はその足跡を追うように俺は走った。


 (……むっ、あれは!)


 少し先の部屋の前で足跡は途切れていた。

 キャンディは恐らく、その扉の先にいた。


 ――ガチャ……! 俺は勢いよく扉を開ける。


 ……そこには誰もいない、強いて言うなれば幾つもの棚のようなものが並んでいた。


 しかし、その部屋の先に別の部屋があった。


 「追い詰めたぞ!」


 ――ガラッ……! 俺は引き戸を勢いよく開いた。


 「キャンディーーーーーッ!」




 ――カポーン




 ……引き戸を開いた瞬間、湿り気のある熱気が吹き抜けた。


 辺りには白い湯気が漂い、床から壁まで石のようなもので造られていた。


 「……ひっ」


 ……そこにキャンディが立っていた。それと初めて彼女の声を聞いた。


 「なるほど!」



 ……キャンディは全裸であった。



 「ここは浴場か!」



 ……全てを納得した俺はポンッと掌を打った。



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